2022 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study on homestay tourism development in developing countries.
Project/Area Number |
20H04440
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
中谷 哲弥 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (50285384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 恵理子 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50598208)
薬師寺 浩之 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (70647396)
らなしんは にるまら 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (90849663)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 観光 / ホームステイ / 持続可能な開発 / インド / バングラデシュ / スリランカ / インドネシア / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に興隆するホームステイ及びこれを中核とした観光諸形態の動向に注目することで、開発途上国の農村部における観光開発に関する国際的な比較研究を行う。近年、農村観光、コミュニティ・ベイスト・ツーリズム、責任ある観光など様々な理念と形態のもとに、観光開発は途上国における農村開発の代替手法として採り入れられてきた。本研究は、ホームステイがそれら諸形態を通じて中核的な構成要素となってきたと措定し、東南アジアと南アジアの事例により横断的な分析を試みる。 これまでの研究において、各国の農村部での観光開発おいて、ホームステイはひとつの中核的要素となっていることが確認された。バングラデシュではNGOが仲介役となって村民を組織化してホームステイのプログラムが試行され、スリランカでは地域コミュニティが主体的にホームステイに取り組んでいた。またタイやバングラデシュにおいては、地域コミュニティというよりも、特定の旅行会社と提携する個人が主体となってホームステイを運営する状況もみられた。さらにインドでは、宿泊施設そのものは旅行会社によるコテージであり、厳密にはホームステイには該当しないものの、食事の提供ほか、すべてのサービスを周辺の村人が担っている事例もみられた。これらのことから、ホームステイは農村部における観光開発の中核となっているものの、運営主体や形態は多様であることも判明した。 また、コミュニティ主体のケースでは村民の理解度や継続性に課題がみられる一方で、旅行会社と提携した個人主体の運営においては、ある種のアントレプレナーシップが発揮されており、比較的順調に運営されているケースもみられた(ただし、利益の公平な配分の要素には欠ける)。このように、ホームステイを中核としながらも、それぞれの形態に応じた課題やメリットが存在していることが明らかとなり、さらなる研究を要することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の開始年度は令和2年度(2020年度)であったが、令和2年より世界的に新型コロナウイルス感染が拡大したことにより、翌年の令和3年度までは全く海外調査ができない状況となった。また、多くの国や地域において、本研究の対象となる観光自体が縮小していたために、訪問したとしても十分な成果が得られる状況にはなかった。令和4年度の後半になり、ようやく海外調査が可能となったことにより、海外調査の一部を実施した。本研究の核心は研究に参画する研究者による海外調査とその成果を比較研究することにあることから、主として新型コロナウイルス感染の世界的流行を要因として、研究の進捗はやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年5月時点において、すでに新型コロナウイルス感染の世界的流行は収まり、観光そのものも世界的に再興しつつあることから、令和5年度については当初の計画を可能な限り実現すべく、海外調査を実施する予定である。
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