2021 Fiscal Year Annual Research Report
世帯内に隠れた女性の貧困の実証的把握:貧困研究の方法の再検討
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20H04446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鳥山 まどか 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (40459962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 伊智朗 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20199863)
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20584098)
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (60413415)
吉中 季子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 世帯内資源配分 / 女性 / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主に「消費生活に関するパネル調査」の分析を行った。 単年度データ(第1年度)を用いた分析である、御船美智子(1995)「家計内経済関係と夫婦間格差―貨幣と働く時間をめぐって」『季刊家計経済研究』25を参照し、収入管理タイプ別の家計費および妻・夫・子どもそれぞれの支出配分を最新データを用いて確認した。 また、第1年度から第5年度のデータを用いた分析を行っている、樋口美雄・岩田正美編著(1999)『パネルデータからみた現代女性―結婚・出産・就業・消費・貯蓄』東洋経済新報社を参照し、最新5年度分のデータを用いて、妻の就業状況の変化や子どもの誕生にともなう家計費および世帯内支出配分の変化に関する分析を行った。 分析の方法および結果について、国内外の研究者との意見交換を複数回にわたり実施した。世帯における収入管理の方法を類型化する際の考え方が日本と海外の調査では異なる。海外の研究においては、家計管理におけるコントロールとマネジメントを区別し、特にコントロール(家計に関する決定権の所在とその内容・範囲など)は世帯内資源配分の過程や結果に大きく影響し得るとして、これを調査で捉えようとする。一方、日本の「消費生活に関するパネル調査」では家計管理におけるコントロールとマネジメントを区別するような調査設計となっておらず、むしろ収入管理の方法の詳細な類型化に力点が置かれているという特徴がある。このような違いを考慮することなしに、日本と海外の比較は行えない。国際比較のためにも、「消費生活に関するパネル調査」の設計や実施に至る議論の再整理と、調査項目の再検討が必要なことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「消費生活に関するパネル調査」の分析を行う中で、調査項目の設定の経緯や意図が必ずしも明確ではなく、特に海外の調査を用いた研究との比較などを行う際にはこの点を確認する必要があるため、分析結果のアウトプットは次年度以降に持ち越すこととした。 また、前年度実施を見合わせたインタビュー調査についても、今しばらく感染状況の落ち着きを待つこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き海外の研究者との議論も行いながら、「消費生活に関するパネル調査」の分析を継続する。 また、女性の世帯内資源配分にも大きく影響し得る、社会保険の保険料徴収に関する基礎的データを得るための調査を計画・実施する。
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Research Products
(3 results)