2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H04451
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 隆志 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50531472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 秀和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30362651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / X線自由電子レーザー / 回折格子 / 分光イメージング / X線吸収微細構造 / X線ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始初年度は、主として本研究課題のキーデバイスになるマルチ開口グレーティングの開発を行い、基本構造の作製プロセス確立に取り組んだ。 マルチ開口グレーティングには、X線実験において試料支持用透過膜として広く実績のある窒化ケイ素薄膜構造を採用した。シリコンチップ上に窒化ケイ素薄膜の付いた開口を多数作製し、その窒化ケイ素薄膜上にX線分光用の回折格子パターンを描画した。 回折格子パターンの描画には、申請者所有のフォトリソグラフィ装置や反応性イオンエッチング装置などの半導体プロセス機器群のほか、必要に応じて東京大学浅野キャンパスの武田先端知クリーンルーム所有の電子ビームリソグラフィ装置などを活用した。電子ビームリソグラフィの場合でおよそ100 nm周期の回折格子の作製に成功し、次年度以降に実施を予定しているX線を利用した実験において、検出可能な十分な回折角を確保することが可能になった。電子顕微鏡などをもちいた作製回折格子パターンの評価も行っており、大面積にわたって十分な精度を担保できていることも確認した。 またこの他、次年度以降実施を計画しているX線自由電子レーザー施設SACLAでのシングルショット顕微分光イメージング実験に向けて、軟X線光学システムの設計にも取り組んだ。ウォルターミラーを利用した拡大結像光学系の検出器面において、作製した23mm角のマルチ開口グレーティングを直線導入機を利用したアライメント機構によって透過光と回折光の位置合わせを行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたマルチ開口グレーティング構造の設計および作製に成功しており、予定通りの進捗が得られている。コロナ禍の影響によるマルチ開口グレーティングのアライメント機構作製も、繰越制度を利用した対応を行い問題なく進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、光学系に必要になる要素技術の構築は順調に進んでおり、研究計画後半での放射光実験に向けて、SACLAを管理する理化学研究所の研究者との連絡をより緊密に行っていく予定である。またこれに加えて、実験で得られる成果を最大化するために、測定対象に関しても学術的なインパクトを得られるよう、共同研究者と引き続き探索を行っていく。
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