2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H04451
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 隆志 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50531472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 秀和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30362651)
志村 まり 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (90226267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / X線自由電子レーザー / 回折格子 / 分光イメージング / X線吸収微細構造 / X線ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目になる2021年度は、昨年度作製したマルチ開口グレーティングの性能評価に主に取り組んだ。 大きな進捗としては、兵庫県播磨のX線自由電子レーザー施設SACLAに、新たにマルチ開口グレーティングを評価可能するための超高真空対応の軟X線光学システムを構築したことが挙げられる。本システムを用いて実際に光子エネルギー100 eVの軟X線レーザーを照射した実験にも取り組み、昨年度までのシミュレーション通りに回折・分光させることが可能であることを確認した。 またマルチ開口グレーティングに関しても、回折効率や分光性能を高めるために、回折格子設計の改善や、電子ビームリソグラフィのパラメータ最適化も試みた。具体的には昨年度まで作製していた透過型回折格子の設計を、等間隔のものから、上記SACLAの軟X線光学システムに最適化した不等間隔に変更し、分光性能を高めるとともに、検出器上でのX線強度を大きく高めることに成功した。 以上に加え、これまでの結果を踏まえてこの他最終年度にシングルショットでの顕微分光イメージング計測を行う候補試料の探索にも取り組んだ。本研究提案での実験では、軟X線の透過配置での顕微分光を想定しているため、200ナノメートル厚の窒化ケイ素薄膜上に試料をパターニング、または均一に塗布可能な技術を開発した。この試料準備技術の開発に関しても、SACLAでの評価実験に成功しており、全体として計画は順調に進行していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、二年目においてSACLAに光学システムを設置し、マルチ開口グレーティングの評価を行うことに成功した。これに加えて、マルチ開口グレーティングに関して開始当初には想定していなかった不等間隔回折格子の導入など光学設計の最適化にも取り組み、分光性能を向上させることに成功した。以上から、現状当初の計画以上に研究は進呈していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、計画通りこれまで開発した軟X線光学システムとマルチ開口グレーティングを組み合わせてのフェムト秒シングルショットでの顕微分光イメージングの実現を目指す。 研究二年度目での実際のマルチ開口グレーティングでの評価結果や、SACLAの軟X線レーザーの性能を元に計測試料の最適化を図り、科学上インパクトのあるデータの取得に挑戦する。
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