2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an innovative bunch-lengthening technique for achieving ultra-low emittance beams in the next-generation synchrotron light sources
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20H04459
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
坂中 章悟 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20178560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 大地 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30788237)
山本 尚人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60377918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 次世代放射光源 / 高周波加速 / バンチ伸長 / 高調波空洞 / 過渡的電圧変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代放射光源において電子のバンチ内での散乱を抑制し、極低エミッタンスビームを実現するため、電子バンチを伸長する新たな手法を開発する。この目的のため、1) 従来とは異なるTM020共振モードを用いた高調波空洞の設計研究、2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発、を行っている。令和3年度の研究実績は以下の通りである。 1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 前年度に製作したモデル空洞の高周波特性を測定し、シミュレーション結果の検証を行った。とくに加速用TM020モードの諸性質と高次モードの減衰特性を詳しく調べた。その結果、シミュレーションで予測された重要な結果が、測定結果と定性的に一致することを確認した。測定結果の一部にはシミュレーション予測と差異が見られたが、その原因も追及し、モデル空洞に組み込んでいる電波吸収体(フェライト)の形状をシミュレーションでより正確にモデル化することで、測定結果をより良く再現できることがわかった。これらの成果を国際粒子加速器会議 IPAC2021で発表した。また、大電力を投入できる高調波空洞実機の機械設計の検討と熱構造解析にも着手した。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発:過渡的電圧変動をアクティブに補償する為に用いるバンチ同期位相モニターの詳細検討を行い、第18回日本加速器学会年会で発表した。この設計に基づき、バンチ同期位相モニター用ソフトウェアを製作し、バンチ同期位相モニターが完成した。また、アクティブ補償を可能とするローレベルRF制御系の詳細検討を行い、結果を第18回日本加速器学会年会で発表した。並行して、過渡的電圧変動を補償するために使用できる1.5 GHz補償空洞のモデル空洞を、他の科研費課題と共同で製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの進捗状況は以下の通りである。 1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 共振周波数1.5 GHzで1空洞当たり約170 kVの高調波電圧を発生でき、かつ高次モード共振によるビーム不安定性を起こさない空洞共振器の設計研究を進めている。この空洞では、加速に用いるTM020モードのQ値を損なうことなく、それ以外の寄生モードを十分に減衰させることが必要である。本研究では、電磁場シミュレーションにより空洞形状を徹底的に最適化することにより、寄生モードを十分に減衰できる設計を確立した。また、空洞に入力カップラーや周波数チューナーを取り付けた場合には、加速用TM020モードの軸対称性が破れることでそのQ値が低下することを解明した。Q値低下への対策として、入力カップラーの設計を工夫すると共に、周波数チューナーを複数個対称に配置することで、加速モードのQ値の低下を最小限に抑えられる事を示した。続いてモデル空洞を製作し、シミュレーションによるこれらの検討結果が妥当である事を高周波測定により確認した。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発:バンチの同期位相を検出し、その情報をもとに最適化したフィードフォワード・パターンを出力する事により過渡的電圧変動を補償できる同期位相モニター系およびローレベル制御系を開発中である。これまでの研究で、デジタル・ローレベル系でも用いられる高速ダイレクト・サンプリング法によりバンチ同期位相を検出できる事を示し、この方式に基づくバンチ同期位相モニターのハードウェアおよびソフトウェアを製作した。また、電圧補償機能を有するデジタルローレベル系の検討を行った。さらに、電圧補償に使用できる広帯域補償空洞の基本設計も行い、そのモデル空洞を他の科研費課題と共同で製作した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 2022年度には、高次モード吸収体であるフェライトの複素透磁率を精密に測定することで、高周波測定結果とシミュレーション結果との小さな差異を理解することを目指す。また、使用予定であったフェライトが近年入手困難になって来ており、より良いフェライト材料の探索も行う。新たな材料の目処がつき次第、フェライトと金属との接合技術のR&Dにも着手する予定である。また、大電力を投入できる実機の高調波空洞の製作に向け、大電力空洞の機械構造設計と熱構造解析を行い、実機を製作できる直前の状態までもってゆく事を目標とする。実機自体の製作は、2023年度以降に、科研費以外の経費で行えるよう予算要望してゆく。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発:2022年度には、既に完成しているバンチ同期位相モニターをPFリングおいて試験する。また、アクティブ補償ローレベル系中核部(デジタル制御部)の製作を、主として科研費以外の経費で進める予定であり、その中にアクティブ電圧補償を可能にする機能を組み込む。2023年度には、完成したデジタル・ローレベル系の試験をPFリングで行い、電圧補償の実験を進める。また、電圧補償専用の空洞の開発研究も、他の科研費課題と共同で進める予定である。
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Research Products
(9 results)