2021 Fiscal Year Annual Research Report
新たな超高感度マイクロチャネルプレートで拓く粒子・光子検出の新世界
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20H04462
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
的場 史朗 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 技師 (80535782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大下 英敏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 技師 (00625163)
吉川 一朗 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10311169)
瀬谷 智洋 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准技師 (30563978)
吉岡 和夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (70637131)
平田 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (80357855)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロチャンネルプレート / 中性子 / 極端紫外光 / 二次イオン質量分析 / ミュオン / 放射光 / 真空紫外光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多種多様な粒子・光子検出に最適化した超高感度マイクロチャンネルプレート(超高感度MCP)を開発する. MCPの最大検出効率は,検出面の全表面積に対する多数の細孔の全開口面積の比(開口率)とほぼ等しいことが知られている.市販の一般的なMCPでは,機械的強度の制約により開口率は50%-60%であり,検出効率も同程度である.先行研究では,円筒状細孔の粒子入射側にテーパー加工を施して開口部を大きくすることで検出効率が向上することが見いだされている. 本研究開発では,さらなるMCPの高感度化のために,表面構造の最適化や,MCP表面に最適なコーティングや反応材料を塗布することにより,幅広いエネルギー領域における粒子・光子の最大検出効率を100%に引き上げる事を目的としている.イオン・中性子・ミュオン・極端紫外光を用いた計測機器で,上記手法により試作したMCPの実機実証実験を行う.以上により,超高感度MCP仕様の最適化を行う. 次年度である2021年度では,以下にあげる研究開発を行った.昨年度に製作した分割型マイクロチャンネルプレート(検出部が,通常型・通常型にCsIコーティング・テーパー型・テーパー型にCsIコーティングの四領域に分割されている)を用いて,極端紫外光研究施設(UVSOR)BL5Bラインにて30-170nmの領域における真空紫外光の検出効率が測定された. 測定された波長領域において,テーパー型MCPの検出効率は通常型と比較して1.2-1.6倍程度となり開口率におおよそ比例して向上した.テーパー部にCsIコーティングが施されたMCPでは検出効率がさらに向上し相乗的効果がある事が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度では,大きな目標の一つであった紫外光検出検出効率の向上を達成できた.一方,中性子検出効率測定実験はCOVID-19蔓延による影響で2022年度に延期となったが,回路系を拡充させる等の準備が行われた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終の研究期間である2022年度では,各種量子ビームによる検出効率測定実験を行う. 分子科学研究所極端紫外光研究施設ではさらに幅広い波長領域において紫外光の検出効率測定を行う.また,京都大学研究用原子炉用による中性子検出効率測定,高崎量子応用研究所イオン照射研究施設における二次イオン質量分析,J-PARCミュオン科学実験施設によるミュオン検出効率測定を予定している. また,二次元読み出しのための抵抗アノードを上記検出効率実験装置に組み入れ,二次元イメージングにおける検出効率マップ作成を行っていく.このイメージングのための電子回路設計も行う.
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