2022 Fiscal Year Annual Research Report
伝統芸能ビッグデータ構築による無形文化財の保存・解析・共有手法の開発
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20H04485
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10352551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 悠 京都市立芸術大学, 音楽学部, 講師 (00724361)
鹿内 菜穂 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (20706816)
原 尚幸 京都大学, 国際高等教育院, 教授 (40312988)
波多野 賢治 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80314532)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 伝統芸能 / ビッグデータ / 動作解析 / 映像コーディング / 間合い |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初予定していた高齢者の芸能従事者の収録は実施できなかったため,過去に収録した動作映像から,座標データを抽出し,動作解析する方法について検討した。前年度に引きつづき,OpenPoseによって映像から2次元座標の抽出を行い,動作の定量的分析の妥当性について検証した.OpenPose等のAIを利用した骨格推定技術による動作計測は,舞踊のように空間上を自由に移動する動作には容易に適用ができないことや,日本の伝統芸能のように着物を着用することにより骨格情報の推定がそもそも困難な動作に対しては,適用が難しいことがわかった.他方で,ある程度関節位置を人力でトラッキングすることにより,映像から動作情報を抽出する可能性も残されており,今後も映像から動作を抽出する方法について検討することとなった. また,日本舞踊における舞踊と地方(長唄・長唄三味線)との間合いの取り方について定量的に分析するべく,実験を行った.実験では,舞踊,長唄,三味線が,それぞれ単独で演じた場合と,複数で演じた場合とで,どのように間合いが異なるかを確かめ,単独よりも複数で演じた方が間合いが長くなることを明らかにした.これらはいずれも映像コーディングの手法により定量化を行っており,自動推定ができる方法について検討が必要である.今年度は,伝統芸能従事者へのヒアリングを複数回実施することにより,これまで日本の伝統芸能においてなされてきた口伝による技能継承のあり方をデータに基づいて可視化することができた.国内の研究会にて成果報告およびシンポジウムにて報告をし,高い評価を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により,当初予定していた芸能従事者の収録ができなかったが,舞踊家,地方による間合いの生成を可視化するための実験とヒアリングを実施した. 当初予定していた高齢の芸能従事者(家元)の収録・ヒアリングは実施できなかったものの,後継者の一人である中堅従事者の実験・ヒアリングができ,また,家元の理念や家元からの技能継承のあり方について詳細に話が聞けたことは大変意義があった.次年度は家元のデータ収録ができるようにしたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
映像による動作解析,とりわけ着物を着用するような骨格推定が難しい動作に関しては,特にデータ抽出が困難であることがわかったため,今後は,映像コーディングや生体情報の抽出などのさまざまな方法論を用いて多面的なアプローチをしながら,それらをどのように統合してビッグデータとして格納するかを検討する必要がある.
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Research Products
(5 results)