2021 Fiscal Year Annual Research Report
Conformation of the cortical representation of scene
Project/Area Number |
20H04487
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
酒井 宏 筑波大学, システム情報系, 教授 (80281666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 伸彦 東邦大学, 理学部, 講師 (60632958)
山根 ゆか子 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, スタッフサイエンティスト (70565043)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知科学 / 神経科学 / 実験系心理学 / 情報工学 / 視覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小多電極によって記録した多数・多様な自然画像に対するサルV4細胞反応の解析を継続して進めた。呈示画像の特徴を解析し,これら特徴に対する各細胞の選好性を解析した。図方向・図領域に注目して個々の細胞の選好性を推定した受容野構造を基礎として,複数の特徴(e.g., 形状・輪郭・テクスチャ)に対してどのような選好性をもつか,図領域を含めてどのような組み合わせを示すか,に注目して解析した。同時に,高次元受容野推定の仮説設定のため,自然画像に対する神経細胞の示す次元解析を開始した。さらに,形状(輪郭)と面(テクスチャ)に着目して,自然テクスチャを有する自然画像と,そのシルエット(白黒2値)画像に対する神経反応の強度・潜時・次元等の関係を解析し,特徴融合の機構理解を試みた。この結果、形状と面は独立でもなく共通でもない符号化をしていることが示され、混合選択性を含めた冗長性の高い符号化をしている可能性があることが判った。 形成・統合の回路機序についても引き続き研究を進めた。局所フィールド電位(LFP)の位相コヒーレンス(緩やかな同期)を基礎として,選択的統合が生じ,前駆物体の表現が形成されるとの機序を検討するために,LFP波形のダイナミクス解析を実施した。LFPは極めて非定常な現象であることが知られているが,そのダイナミクスは殆ど判っていない。今年度は,LFPを特徴的なspindleに分解することをNMF(非負行列分解)によって試みた。そして,それぞれのspindleが異なる細胞集団からの断続的な信号伝達であるとの仮説を検討した。特に,spindleの振幅強度に関わらず,それらが共通にもつ特徴を探索した。これによって,LFPによる情報選択・伝達の機構理解を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受容野推定では新しいSTA法を提案してきた。この方法の定量評価を行なった結果は良好であったが、さらに良好な方法を着想した。これまでの解析に加えて、新方法を適応することでより信頼性の高い解析を実施していく。また、解像度に起因する誤差評価および2次推定についても評価したところ、良好な結果を得た。これら方法についても追加解析を行なうことによってさらなる成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
微小多電極によって記録した多数・多様な自然画像に対するサルV4細胞反応の解析を継続して進める。呈示画像の特徴を解析し,同時にこれら特徴に対する各細胞の選好性を解析して,V4における輪郭形状とその内包する面に関わる中間表現を明らかにする。これまでに,個々の細胞がどのような選好性を示すか,図方向・図領域に注目して受容野構造を推定し,さらに複数の特徴(e.g., 形状・輪郭・テクスチャ)に対してどのような選好性をもつか,図領域を含めてどのような組み合わせを示すか,に注目して解析した。これからは,細胞群が有する次元推定を進める。生理実験では刺激数と細胞数は有限であるが,ここでは外挿によって無限の刺激数・細胞数に対する次元を推定する。さらに,それぞれの次元が何を表現しているのか,複数の刺激特徴をどのように統合しているかに注目して解析する。この結果と実際の細胞の選好性を比較検討することで,中間表現を明らかにしていく。 形成・統合の回路機序についても引き続き研究を進める。局所フィールド電位(LFP)の位相コヒーレンス(緩やかな同期)を基礎として,選択的統合が生じ,前駆物体の表現が形成されるとの機序を検討するために,LFP波形のダイナミクス解析を実施する。これからは,spindleの特徴に注目して,それが生起される機構をダイナミックなモデルを用いて検討する。これによって,LFPによる情報選択・伝達の機構理解を試みる。
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