2020 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between personality and executive functions: A cognitive constructionist approach
Project/Area Number |
20H04491
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 孝太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30839311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行系注意機能 / パーソナリティ / 前頭葉機能 / 眼球運動 / ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,パーソナリティの個人差の基盤となる実行系注意機能の働きを明らかにすることである。特に,本年度および次年度は,(1)実行系注意機能とパーソナリティとの関係を記述するための仮説モデルを立て,そのモデルの妥当性を調べるための実験パラダイムを確立すること,(2)その結果に基づき,行動生成モデルの構築を行い,ロボットインタフェースへの実装のための基盤整備を目的とした。 本年度は,以下のような調査ならびにデータ解析を実施した。 Web調査によって,実行系注意機能が関与すると考えられる行動(特にプランニングや衝動性の抑制)などの生起の傾向とパーソナリティの関係を明らかにした。特に,新型コロナ感染症の流行という未経験の事態に遭遇した際に,新しい行動様式を実行し,習慣化していくためにはプランニングや衝動的行動の抑制と言った実行系注意機能が重要な役割を果たすと考えられる。そこで,感染拡大防止に向けた新しい行動様式の獲得とパーソナリティの関係をWeb調査により調べた。その結果,勤勉性や開放性といったパーソナリティ特性と新しい行動様式の習慣化の間に相関が見られることが明らかとなった。未知な状況に対する探索的な傾向や,社会的な交流の自粛と言った衝動の抑制などが新しい行動様式の獲得に寄与していることが推察される。これらに基づいて,先行研究の結果も踏まえて仮説的な概念的モデルを構築した。また,仮説的なモデルに基づいて,実験課題のプロトタイプを作成した。 また,一昨年度,別の目的で収集した認知課題遂行時の眼球運動とパーソナリティに関するデータを再分析し,機械学習に基づくパーソナリティを潜在変数とした眼球運動の生成モデルを作成した。その結果,開放性と勤勉性に関連した眼球運動のパラメータが潜在変数として取得できた。その結果をもとに,それをアバターのアニメーションに実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,実行系注意機能とパーソナリティとの関係を記述するための仮説モデルを立て,そのモデルの妥当性を調べるための実験パラダイムを確立し,その実験結果に基づいての検証を行うことに向けて,特に,モデル構築と実験パラダイムの確立,ならびに,予備実験による検証を行う予定であったが,新型コロナ感染症の拡大に伴い,実際の被験者を募っての実験が困難となった。一方,本研究で当初想定していた実験は,オンライン等の非対面によって実施することを想定しておらず,実験を繰り返してモデルを修正するというプロセスに進むことが困難となった。そこで,方法を変更し,1つはWeb調査によって,実行系注意機能が関与すると考えられる行動(特にプランニングや衝動性の抑制)などの生起の傾向とパーソナリティの関係を明らかにした。これらを,踏まえた仮説モデルの構築を進めることとしたが,当初の計画通りに仮説モデルの構築と検証は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
ロボットへの実装については,新型コロナの感染が未収束である事態を想定し,以下の方向で進めることとした。今年度は,一昨年度に,別の目的で収集した認知課題遂行時の眼球運動とパーソナリティに関するデータを再分析し,機械学習に基づくパーソナリティを反映した眼球運動の生成モデルを作成し,それをアバターのアニメーションに実装した。当初,ロボットによる実装を目指していたが,ロボットへの実装では,対面実験による検証が必要不可欠となるため,次年度以降も,次年度も対面での実験が困難となる場合も想定し,まずは,アバターのアニメーションによる実装,ならびに,その結果のWeb実験による検証を進めることとした。また,同時に対面実験が定常的に可能となった場合に備えて,従来の計画にある実験パラダイムによる検証やロボット実験の実施に向けた準備も進める。
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