2021 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between personality and executive functions: A cognitive constructionist approach
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20H04491
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 孝太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30839311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行機能 / パーソナリティ / 抑うつ / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、実行系注意機能やパーソナリティと行動との関係に関するモデルを検証することを目的とし, 大規模調査を実施した。加えて、実行系注意機能と同様に前頭葉機能の関与が想定されている抑うつ状態との関係に関しても検討を行うこととした。そこで、先行研究を参考に、実行系注意機能が関連すると思われる日常行動を50項目選択し(日常行動関連質問と呼ぶ)、日頃、個人が、そのような行動をとる、あるいは、そのようなことを感じる頻度を測定した。20歳代から60歳代の男女、計2000名に対し、日常行動関連質問に加えて、パーソナリティ質問紙、実行機能系の機能に関する質問としてエフォートフルコンロトール(EC)質問紙、抑うつ傾向質問紙を実施した。まず、日常行動関連質問を因子分析したところ、4つの因子が抽出され、(1)行動制御、(2)感情制御、(3)食事関連、(4)ポジティブ行動、と命名した。これらの行動項目と、他の質問紙の関係については、行動制御がECの注意制御と負の相関、感情制御はECの行動抑制と負の相関、パーソナリティの神経症傾向と正の相関、食行動はうつ傾向と正の相関、ポジティブ行動はうつ傾向と負の相関、外向性と正の相関を示した。これらの結果は、行動制御と感情制御が異なる神経基盤を有するという従来の研究とも一致する。また、うつ傾向は3つのEC項目全てと相関を示したことから、前頭葉機能とうつ傾向の関連が支持された。さらに、ECの行動抑制はパーソナリティの協調性、勤勉性と相関、ECの行動始発の制御は神経症傾向を除く他の全ての項目と相関、ECの注意の制御は勤勉性、神経症傾向と相関するなど、パーソナリティと実行系注意機能の密接な関連を示唆する結果となった。この結果に基づき、実行系注意機能とパーソナリティに関するモデルの修正を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究では、実験や調査を通じて、モデルを構築し、そのモデルに基づいてロボットやアバターの挙動を構築することでモデルを検証するという方法論をとっている。本来、実験室実験での行動データから同様の知見を得ることを計画していたが、コロナ禍において、対面での実験を計画することが困難となったことから、調査の方法によりデータ収集を行なった。元来、想定していた実験室実験とは、異なる質と規模のデータを得ることとなったが、結果的に、モデルの精緻化にとって極めて有益なデータとなり、また、当該研究分野における新たな知見を得ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、最終年度に向けてモデルの妥当性の検証を加速させるとともに、成果発表に関しても計画的に実施する予定である。
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