2022 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between personality and executive functions: A cognitive constructionist approach
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20H04491
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 孝太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30839311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実行機能 / 眼球運動 / パーソナリティ / 動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度、眼球運動についての研究、パーソナリティの生理学的基盤に関する研究、さらには、実行系注意と眼球運動に関する研究などの成果に基づいて構築した、眼球運動とパーソナリティ、実行系注意機能との間の仮説的なモデルからの予測が確認されるか否の心理実験を行った。当初はアバターを用いて実験を行う予定であったが、人型ロボットが利用できることとなったため、ロボットにモデルに基づく眼球運動を実装した。本研究の最終的な目的は、ロボットなどに理論的モデルに従った眼球運動を実装することであることから、本変更は研究を加速させることとなる。オンライン実験の実験手続き上の制約から、実験では、ロボットを直接的に用いるのではなく、モデルに従って動作しているロボットの動画を作成し、そこから知覚されるパーソナリティ評価結果を実験参加者から収集した。その結果、視線移動の方向と頻度によって、パーソナリティの5因子理論のうち、外向性、勤勉性、開放性の印象が変化することが明らかになった。これらは、いずれもモデルからの予測と一致した。一方、予測された神経症傾向への眼球運動の影響は観察されなかった。この結果に基づき、モデルの修正を行った。また、視線方向に加えて、瞬きの要因についても、先行研究に基づいてモデル化を行った。エージェントの動作に関しては、昨年度の結果に基づき、実際の行動選択における実行機能の役割とパーソナリティの関係を、パーソナリティの生物学的な理論に基づきモデルを検討した。モデルをロボットに実装し、予備的な観察を行った。その結果は、モデルの妥当性を示唆するものであった。これらの結果は、パーソナリティの基盤となる生物学的な要因が実行機能の働きを調節し、その結果として表出される行動(動作や眼球運動)がパーソナリティとして他者に知覚されるという本研究の仮説を概ね支持するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、計画当初は、眼球運動や動作を容易に制御できるロボットが技術的な点で利用可能であるかが不透明であったため、アバターなどのアニメーションを使った実装を計画していたが、本年度に入り、ロボットが利用可能となったため、そのロボットを用いた眼球運動と動作に関する研究を実施した。その結果、研究が加速されることとなった。一方で、動作に関しては、同様にロボットを用いた研究に、これまでの成果を実装すべく検討を行ったが、アバターの動作とロボットの動作では挙動が異なるため、多少の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、PC画面上のアバターやアニメーションを用いた実証から、実際の人型ロボットを用いた実証を行うことに変更を行ったため、一部に遅れを生じたが、本年度、最終年度に向けてモデルの妥当性の検証を加速させるとともに、成果発表に関しても計画的に実施する予定である。
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