2023 Fiscal Year Annual Research Report
視聴覚統合機能と概念獲得機能の統一モデルの提唱:神経制約計算機モデルを用いて
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20H04494
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
上野 泰治 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (20748967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章浩 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80396530)
石橋 遼 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (90750266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視聴覚統合 / 意味記憶 / マガーク効果 / fMRI / 経頭蓋直流電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに実施した全ての研究において「後部上側頭溝が視聴覚統合機能を支えない」という結果を解釈するために先行研究の精査と再解釈を試みた。まず、代表な研究の一つであるBeauchamp et al. (2011)を精査したところは、通常の視聴覚統合の領域で必要とされる条件間の比較を行っていないことが明らかになった。具体的には、視聴覚統合に重要な脳部位を調べる場合、視覚情報と聴覚情報の二つを呈示した上で、二つの情報の統合が必要な(重要な)条件と、統合が不要な(重要でない)条件を比較する必要がある。しかし、Beauchamp et al. (2011)はそれを実施していないことが明らかとなった。それを踏まえて、その他の重要とされる研究(例: Hickok et al., 2018)なども精査した結果、同様のことがわかった。一方で、上記の比較を行った研究は、後部上側頭溝の役割に否定的(例:Murakami et al., 2018)であったり、後付けの理由で個人差を考慮しない限り後部上側頭溝の役割を検出できないものばかりであった。以上のことから、視聴覚統合における後部上側頭溝の役割をコンセンサスとしてきた先行研究はむしろ再解釈が必要であることがわかった。 以上のことから、後部上側頭溝の役割について先行研究と一致しないことについては解釈が可能であると判断し、これまでのデータはネガティブデータとはみなさず、さらなる分析を進めた。fMRIデータの表象類似度分析の結果、運動野が視聴覚統合機能を支える可能性が示唆された。この脳部位の因果的役割を検討するため、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いて運動野を刺激した。結果、陽極刺激に拠る脳機能促進の効果は検出できなかったが、陰極刺激に拠る脳機能抑制の効果は検出され、運動野が視聴覚統合機能を支える可能性がより強く支持された。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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