2020 Fiscal Year Annual Research Report
力学体系に基づいた間質液流れによる脳内老廃物除去機構の解明
Project/Area Number |
20H04504
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武石 直樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30787669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 直人 東京電機大学, 工学部, 教授 (80512730)
田中 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40294087)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳間質液 / 血管周囲腔 / 脳内老廃物 / 物質輸送 / 計算バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
血管周囲腔(PVS)における脳脊髄液(CSF)の脈波依存的な流れを数理モデル化し,テスト解析を終えた.CSFは,マウスを用いた先行実験[Mestre et al., 2018, Nat. Commun., 9:4878]の知見に基づき,非圧縮ニュートン流体としてモデル化し,脳動脈の脈動によってCSFの流れが駆動される状況を想定した.この解析によって,直径100マイクロメートルの脳動脈では,その直径の1%から10%程度の脈動によって,実験計測で得られた正味のCSF流れ(約20マイクロメートル毎秒)を発生できることがわかった. 一方,全脳スケールにおける老廃物除去機構の解明に向け,全脳スケールの3次元大規模脳動脈血流体解析を行った.これにより,脳血管分岐世代ごとの流体力学的因子の変化について基礎的知見が得られたと考えている. また,細胞スケールにおける脳内物質輸送問題の解析に向けた準備として,赤血球懸濁液のレオロジー解析を行い,赤血球の個々の変形特性と空間の応力場として定量される見かけの粘性の関係を明らかにした.この成果は,査読付き国際雑誌論文として報告済みである[Takeishi et al., 2019, J. Fluid Mech., 872:818-848].上述の成果は,国際的なweb科学広報紙であるAdvances in ENGINEERINGにおいても紹介された.さらに,極小流路内における赤血球の安定挙動や赤血球流動下における血小板の流動特性についても明らかにし,それぞれ国際雑誌論文として報告済みである[Takeishi et al., 2019, Micromachines, 10:199; Takeishi et al., 2019, J. Biomech. Sci. Eng., 14:18-00535].
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管周囲腔の脳脊髄液流れに関する数値解析に向けた数理モデル化とテスト解析を完了した.これにより,生理的妥当な脳動脈の脈動振幅によってマウス実験で計測されるCSFの正味の流速が発生しうることを見出した.全脳スケールにおける老廃物除去機構の解明に向け,全脳スケールの3次元大規模脳動脈血流体解析を行った.これにより,脳血管分岐世代ごとの流体力学的因子の変化について基礎的知見が得られたと考えている. さらに,脳内物質輸送の中心的スケールである細胞スケールの流れに関しては,赤血球懸濁液のレオロジー解析や極小流路内での赤血球単一の安定挙動について解析を終え,これらの結果を国際雑誌論文として報告した.また,赤血球流動と酸素輸送に関する3次元血流解析と生理学的意義に関する考察を同時に進めている.以上の状況から,現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
脈動由来のCSFの流れがどのような空間スケールに基づいて規格化されるのかを明らかにするために,脈動の振幅やPVSの流路幅に対するCSFの正味流速への影響を調べる.また,3次元大規模脳動脈血流体解析で得られた知見に基づき,縮退した血流の数理モデル化を行い,流れの拍動成分がどのように血管分岐世代を伝ぱしていくのかを詳しく調査する.これらの知見に基づき,組織スケールにおける脳内老廃物の輸送や沈着に関する力学的考察を深めていく. 一方,細胞スケールにおける物質輸送問題については,赤血球流動と酸素輸送に関する3次元血流解析をほぼ完了しているため,解析結果に基づく生理学的考察を深めた上でこれらの知見を査読付き国際雑誌論文して報告する準備を行う.将来的には,これら酸素輸送問題における数理モデルを酸素以外の高分子タンパク質の移流拡散問題へと拡張させる.
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Research Products
(4 results)