2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H04505
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60346616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 仁実 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80641068)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 幹細胞 / 分化 / シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は世界で最も胃がん患者発生率の高い国であり、年間45,000人が新たに胃がんを発症している。胃がん発症の主な原因は、ピロリ菌感染による数十年にわたる慢性的な炎症と言われており、ピロリ菌の抗生物質による早期除菌は胃がん発症の予防に有効である。 胃がんを発症した場合、内視鏡手術や胃の部分切除、全摘出が行われる。しかし、胃切除術後には、胃の縮小、内分泌機能の低下による消化管の協調不全が起こり、消化不良やダンピング症候群、内因子という糖タンパク質の減少により引き起こされる巨赤芽球性貧血など、胃再建後の様々な体の変調を克服する必要性が生じる。 本研究では、マウスの胃をモデルに用いて、機能性の胃上皮組織の再生のための基盤技術の開発を行っている。我々は最近成体マウスの胃の内腔表面を覆っている上皮細胞集合体である胃腺を採取し、無血清培地で三次元培養することで、増殖性の幹細胞と粘液分泌前駆細胞を選択的に増殖させる培養方法を開発した。さらに、成体マウス胃組織のシングルセル解析データを用いて、EGFシグナルが幹細胞から粘液分泌細胞への分化を促進することを見出している。また、幹細胞の制御シグナルに関しても検索を進めた結果、NK-kBシグナルが幹細胞で活性化している可能性を見出した。現在、NF-kBシグナルを活性化するリガンドやNF-kBシグナルの阻害剤を用いて、幹細胞制御シグナルの制御のしくみの解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験に関しては技術的な問題点があり、再現性のあるデータを取得できておらず、改善策を探索中である。そのため、in vitro実験による幹細胞の分化制御シグナルに注力して研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
胃の幹細胞から粘液分泌細胞への分化制御シグナルについて明らかになってきており、また、幹細胞自体の制御シグナルについても有望シグナル候補が見つかってきた。しかし他の胃の機能性上皮細胞への効率的な分化培養条件は見いだせておらず、今後その分化条件についても検討を進める必要がある。
|
Research Products
(2 results)