2021 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞の張力伝達ネットワークによる機械受容機構解明と心不全治療への展開
Project/Area Number |
20H04508
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
花島 章 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70572981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80341080)
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コネクチン / コスタメア / メカノバイオロジー / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓は高血圧などの力学的環境変化に対して心筋細胞の肥大を介したポンプ機能調節によって適応するが、長期的にはこの適応機構も破綻して心不全に至る。しかし、メカニカルストレス感知応答における弾性蛋白質connectin/titinやcostamereなどの心筋細胞内張力伝達ネットワークの貢献は十分に解明されていない。本研究では、connectinに結合する新規蛋白質を同定した。新規蛋白質は核膜分子nesprin-1にも結合し、成体心筋細胞ではコスタメアに局在した。新規蛋白質ノックアウトマウス心臓の構造と機能は正常だったが、心筋細胞におけるコネクチンの発現が変化していた。また、KO心筋細胞では、PI3K-Aktシグナル伝達経路が変動しており、SERCA2aの発現量増加とphospholambanのリン酸化により、筋小胞体におけるCa2+ハンドリングが亢進していた。さらにKO心筋細胞ではミトコンドリアの整列と融合が異常で、恒常的なATP産生増加のストレス状態にあり、予備呼吸能を失っていた。そして、KOマウスは、大動脈狭窄術による急性圧負荷では、致死性不整脈もしくは急性心不全により短期間で突然死し、慢性圧負荷では長期的なメカニカルストレスによって心不全が憎悪した。従ってコネクチン結合新規蛋白質はPI3K-Aktシグナル伝達経路を介して心筋細胞肥大、Ca2+動態、ミトコンドリア代謝を調節することで、メカニカルストレスによる致死性不整脈発生や心不全進行を防いでいることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コネクチン結合新規分子のメカニカルストレスによる心不全進行を防ぐ分子機構についての解明がかなり進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
結果を補強する実験データを集めたうえで、論文として発表する。
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Research Products
(2 results)