2022 Fiscal Year Annual Research Report
The novel differentiation method in pluripotent stem cells without using gene introduction or cytokine stimulation.
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20H04510
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出沢 真理 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50272323)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 多能性幹細胞 / 貪食 / 分化 / eat-me signal |
Outline of Annual Research Achievements |
分化細胞の死細胞片の貪食によってMuse細胞は分化細胞と同じ系列の細胞に分化を開始する。貪食によって分化過程のどのレベルまで進むのかを、single cell RNA sequenceなどの方法を用いて解析した。ヒトMuse細胞に、マウス・ラット由来の心筋(中胚葉系)、神経細胞(外胚葉系)、肝細胞(内胚葉系)由来の死細胞片を貪食させて、それぞれの分化マーカーを初期、中期、後期の分化マーカーに分けて発現の有無をqPCR等で検証し、時系列に従って後期マーカーの発現まで認められた。機能性を評価するために心筋・神経の死細胞片貪食による心筋・神経分化を用いて細胞外のK+濃度を上昇させることによる脱分極と細胞内Ca2+の上昇をGCaMP-Muse細胞で計測した。その結果脱分極によってCa2+が上昇することが分かった。qPCRにおいて機能性獲得と相関するK+, Na+, Ca2+ などのチャンネルの発現も確認された。single cell RNA sequenceで未分化のヒトMuse細胞、マウス由来の心筋細胞の死細胞片を貪食させたヒトMuse細胞、そしてヒトの心筋細胞(AC16)の三者を比較検討した。その結果、心筋死細胞片を貪食したMuse細胞の遺伝子発現パターンは心臓由来の心筋細胞AC16と類似し、未分化Muse細胞とは異なるパターンを取ることがPseudotemporal depiction of heatmap、GO解析、hierarchy heatmap、Monocle trajectoryなどの解析方法で明らかになった。体性幹細胞である間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞(NSC)では貪食能があることがあり、さらに死細胞片貪食によって、貪食細胞と同じ細胞種に分化した。ただMSCは軟骨、脂肪には分化したが胚葉を超えた分化はしなかった。NSCは神経系にのみ分化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貪食によるMuse細胞分化の機能性の解析では、特に評価しやすい心筋と神経の分化系を用いた。GCaMPを導入されたMuse細胞を用いることによって脱分極が細胞内へのカルシウム流入をもたらすことが分かったことから、貪食によってある程度の機能性まで分化が進むことが示された。さらにsingle cell RNA sequenceを用いることによって、肝臓(内胚葉)、神経(外胚葉)、心臓(中胚葉)への分化がはっきりと分岐していく様子が明らかにされ、また心臓由来の本来の心筋細胞と似た遺伝子発現パターンを示すことができたのは大きな進歩であった。これらに加えqPCRや免疫染色でのデーターはsingle cell RNA sequenceでの所見を強化するものであった。ES, iPS細胞は貪食能がほとんどないため、分化細胞の死細胞片による貪食と分化方向付けは出来ないことがわかった。そこで他の幹細胞、たとえば間葉系幹細胞(MSC)、神経幹細胞(NSC)でMuse細胞と同様に貪食によって分化が新たに誘導されるのか、あるいは分化が増強されるのかを検討した。その結果MSC, NSCでも貪食能があり、死細胞片貪食によって貪食細胞と同じ細胞種に分化することが確認された。ただMSCは軟骨、脂肪には分化したが胚葉を超えた分化はせず、NSCは神経系にのみ分化したことから、幹細胞の本来持つ分化可能な範疇を超えることはできない、と分かった。これらの一連の成果から研究は概ね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
貪食によってどのように分化が始動されるのかをゲノムレベルの解析でそのメカニズムの解明を深める。転写因子に着眼してマウス心筋細胞にGATA-4-mcherryをノックインしたものを作成し、抗がん剤などで死細胞を誘導し、死細胞片を集める。その後ヒトMuse細胞に投与し、Muse細胞の心筋分化を誘導する。マウス死細胞片を貪食した後、ヒトMuse細胞の細胞質、及び核の中にGATA-4-mcherryがどのように分布するのか、また核へ移行し、Muse細胞のゲノムに結合するのか、結合する場所は心筋分化に関わる因子のプロモーターにどの程度相関するのか、などを解明する。また免疫電子顕微鏡を用いて、貪食された内容物がMuse細胞内でどのような挙動を示すのかを明らかにしていく。MSC, NSCの貪食による誘導では、qPCRや免疫染色、live 観察を用いてどの程度まで分化するのかを明らかにしていく。Muse細胞は骨髄、脂肪、各臓器の結合組織など体内の様々な場所に存在する。由来となる組織間で、貪食能や分化性向性に違いがあるのかを骨髄-Muse細胞、脂肪-Muse細胞、臍帯-Muse細胞の3者を用いて比較検討する。
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Research Products
(41 results)