2020 Fiscal Year Annual Research Report
Small diameter synthetic vascular grafts: modification for neointima formation and its patency
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20H04522
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山岡 哲二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50243126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 倫之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (70846534) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小口径人工血管 / 延伸PTFE / 内膜誘導 / ペプチド修飾 / 開存率評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
未だ、実用化されていない小口径人工血管の大動物移植モデルでの開存化を大目標とする。具体的戦略として、我々が世界で初めて報告した脱細胞化小口径血管(内径2mm、長さ30cm、Mahara et al., Biomaterials 2015)開発戦略である末梢循環細胞捕捉界面を、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製血管に搭載する。これまでの予備的検討の結果、PTFEの基本特性が脱細胞化血管と大きく異なることから、初期血栓形成の抑制戦略あるいは特異的細胞捕捉戦略の効率向上が重要なことが示唆されている。これらの要求事項に対応することで、研究期間中に、構築界面に対する血液反応の詳細を明確にするとともに、内径2~4mmの内腔修飾ePTFE製人工血管のミニブタ大腿動脈大腿動脈クロスオーバーバイパス術あるいはミニブタ同所性血管移植術での初期開存化を目指す。 PTFEは化学的安定性が高く、従来のプラズマ処理後のビニルモノマーグラフト重合法では表面処理が困難であった。そこでePTFE(多孔質構造)およびPTFEシートに対してArプラズマ処理後にグリシジルメタクリレート(GMA)をアンカー分子として導入することで、続けてメタクリル酸誘導体モノマーをグラフト重合し、我々が独自に見出した血栓形成抑制性と内膜誘導性を併せもつHCP-1ペプチド(特願2017-014800)を固定化した(Liu et al., Colloids Surf B, 2020)。得られた表面修飾ePTFEサンプルをin vitro HUVEC接着試験および血小板粘着試験、さらに、ミニブタ対外循環モデルによるIn situ 全血接触試験で、血小板粘着抑制と標的細胞捕捉を確認した(Liu et al. Biomaterial Sci. 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、学会発表などに大きな影響があった。しかしながら、REDVペプチド、あるいは、研究グループが独自に見出したHCP -1ペプチドを固定化しPTFE表面に対する、たんぱく吸着、血小板粘着、抗血栓性、標的細胞捕捉能について、in vitro および in situで評価しその成果を、(1) Y. Liu, M.C. Munisso, A. Mahara, Y. Kambe, and T. Yamaoka, Anti-platelet adhesion and in situ capture of circulating endothelial progenitor cells on ePTFE surface modified with poly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine) (PMPC) and hemocompatible peptide 1 (HCP-1) Colloids Surf B Biointerfaces, 193, 111113 (2020)、および、(2) Y. Liu, A. Mahara, Y. Kambe, Y. -I Hsu and T. Yamaoka, Endothelial cell adhesion and blood response to hemocompatible peptide 1 (HCP-1), REDV, and RGD peptide sequences with free N-terminal amino groups immobilized on a biomedical expanded polytetrafluorethylene surface, Biomater Sci, 9, 1034-1043 (2021) として報告することができた。さらに、HCP-1に関する特許の審査請求に有用なデータとすることができたので、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
【ペプチドの固定化】 固定化したペプチドの機能性は、配列のみでなく、ペプチド末端の化学構造に大きく影響され、それは固定化で採用する化学反応戦略でコントロールする必要がある。そこで、ポリMPC(PMPC)に10%程度マレイミド側鎖を導入し、システイン残基を導入したペプチドを部位特異的に結合させることで末端アミノ基やカルボキシル基の修飾/未修飾などを制御した固定化を進める。さらに、従来選択したREDVペプチドに加えて、現在特許申請後の審査請求中の新たなペプチド(HCP-1ペプチド)を選択し、表面に対して、全血接触試験、血小板粘着試験およびヒト血管内皮細胞(HUVEC)接着試験をin vitroで評価する。これらの個別のin vitro接着試験では、生体内で経時的かつ競争的に進行する現象を予測することは困難であるので、ミニブタ対外循環モデルでのin situ試験を主軸として、生体内で競争的に起こる抗血栓性と内膜再生性の評価をおこなう。また、一般的に生物活性ペプチドの固定化に関しては、固定化端をN末にするかC末にするか、また隣接配列の影響やスペーサー構造が活性に大きく影響することが知られているために、これらのペプチド固定化における、末端基の影響、隣接アミノ酸の影響、スペーサーの影響などを検討し、in vivo で効果を発揮する修飾法を見いだす。 【中膜再生誘導】 透析シャントなどで使用されるePTFE製人工血管では、その多孔質構造による組織浸潤と器質化が期待されているがその効果は必ずしも高くない。そこで、我々が開発した組織誘導表面処理法(特許第6202669号)に基づいて多孔質内部表面に組織誘導能を付与する。本年度、これらの処理血管の移植実験を開始する。
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Research Products
(9 results)