2020 Fiscal Year Annual Research Report
単回血管挿入で異なる薬剤を適剤適所に送達可能な光応答性薬剤担持型バルーンの開発
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20H04526
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤木 友紀 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40782751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安楽 泰孝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (60581585)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 光応答性 / 薬剤溶出バルーン(DCB) / 局所的薬剤送達システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、これまで開発を進めてきた厳しい血流中においても薬剤が剥奪せず、光照射した時のみ選択的かつ効率的に薬剤を放出可能な光応答性薬剤担持型バルーンの汎用性の向上を目的とする。当該年度は、バルーン表面に様々なサイズの薬剤/高分子集合体(PA)を搭載するために、365 nmで開裂する光開裂基リンカーの検討を行った。光開裂リンカーのサイズは、バルーン表面から薬剤までの距離を決める因子となる。この距離が、バルーン表面に導入する薬剤/PAの密度や血液中での安定性にも関与することが想定されるため、光開裂物質(ANP)を基盤として分子量を変化させ、薬剤/PAの搭載量およびリリース挙動への影響について調べた。さらに、これまでは、測定・評価が容易あるという理由から概念実証のためにLatex粒子を用いてきた。今後はLatex粒子に加えて、医療用バルーンでの評価を進めて行くために、医療用バルーンでの評価系の検討および量産できるシステムについての検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、光開裂リンカーのサイズの検討および、医療用バルーンを用いた評価系の構築及び量産できるシステムの検討を進めた。前者において、数百から数千までの範囲で分子量の異なるリンカーを準備し、医療用バルーンと同素材のLatex粒子及び薬剤と結合させ、導入密度及び光照射時の開裂効率について調べた。その結果、リンカー長と、導入密度及び開裂効率に一定の相関関係が確認された。後者の医療用バルーンの量産システムに関しては、医療用バルーンの原料を購入し、調整条件を精査することにより、研究室規模で作成できる方法の検討を進めている。これまでに、実際に臨床で使用されているバルーンと同様に我々のコーティング手法が適用可能であり、さらに同等の機能性を示すことが確認されている。 以上の理由から、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な薬剤の搭載及び段階的な投与を可能にするために、①バルーン表層への高分子集合体(PA)の導入及び、光応答性の有無、②500nmの波長で開裂するリンカーの合成に着手する。①現在までの方法論では、薬剤を直接バルーン表層に結合させることとなる。つまり、薬剤側に特定の官能基を有する必要があるため、搭載可能な薬剤種が限定されてしまう。そのため、PAをバルーン表層と結合させ、PA内部に薬剤を内包させることにより、搭載可能な薬剤種を拡大させることを目的としている。②薬剤の段階的な投与を実現する方法として、照射する光の波長を変えることで特定の薬剤が投与されることを想定している。これまで概念実証として、紫外領域(365, 405 nm)の波長に応答するリンカーを選択し、評価を進めてきた。今後は、可視領域で開裂するリンカーの合成を行い、機能性評価を進めることを検討している。
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Research Products
(2 results)