2020 Fiscal Year Annual Research Report
鼻-脳輸送機構に基づく核酸送達ナノDDSの開発とグリア標的治療への応用展開
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20H04537
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
金沢 貴憲 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60434015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 浩揮 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60801743)
小菅 康弘 日本大学, 薬学部, 准教授 (70383726)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Nose-to-Brain / ミクログリア / siRNAデリバリー / ナノ粒子 / 膜透過性ペプチド / 脂質材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、本研究で標的とする大脳皮質・海馬への送達に適した粒子組成を明らかとするため、種類と組成を系統的に変えたポリマー/ペプチド混合ナノ粒子に、モデルsiRNAとしてRI-デキストラン(分子量10,000)を搭載してマウスへ経鼻投与し、一定時間後に摘出した脳内の各分画における放射活性から分布効率を定量的に算出した。結果より、PEGポリマーと膜透過性ペプチドからなるナノ粒子において、大脳皮質・海馬におけるモデルsiRNAの分布が向上した。そこで、このナノ粒子にMalat1標的siRNAを搭載し、マウスへ経鼻投与した際の脳内Malat1遺伝子発現解析を行った。その結果、大脳皮質・海馬におけるMalat1発現を抑制した。さらに、本ナノ粒子によるsiRNAのミクログリア細胞への取り込みおよび細胞毒性について検証した結果、siRNAの高い取り込みを示し、顕著な細胞毒性は見られなかった。次に、ポリマー/ペプチド混合ナノ粒子の均質微小化を目指し、粒径制御に優れたバッフル構造を持つマイクロ流体デバイスを用いて、各種調製パラメーターの最適化を行い、多分散指数0.2以下かつ30 nm以下を示すPEGポリマー/膜透過性ペプチドナノ粒子を再現良く調製する条件を確立した。さらに、ミクログリアを標的とした脂質材料(PS誘導体、PC誘導体、PE誘導体、ssPalm誘導体)の探索を行った。その結果、ssPalm誘導体が最も優れたミクログリアへの取り込み向上を示すことを明らかとした。以上、本年度の検討により、経鼻投与によって大脳皮質・海馬への高い送達性および標的遺伝子発現抑制効果を示すナノ粒子組成と調製方法ならびにミクログリア指向性を示す脂質材料を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的であった、①経鼻投与によって大脳皮質・海馬への送達性に優れるナノ粒子、②ミクログリア細胞への取り込みを向上させる脂質材料の同定を予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳皮質・海馬への優れた送達性を示したポリマー/ペプチド混合ナノ粒子と脂質材料を統合した多成分系ナノ粒子を調製し、そのNose-to-Brain動態および物性解析から、組成の最適化を行う。最適化したナノ粒子にsiRNAを搭載し、認知症モデルマウスを用いて脳内標的遺伝子発現および治療効果を検証する。
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