2021 Fiscal Year Annual Research Report
リピッドバブルとMRIガイド経頭蓋超音波による血液脳関門開口と脳内薬物送達
Project/Area Number |
20H04554
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 特任教授 (30130040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 晋一郎 東北大学, 医工学研究科, 学術研究員 (20402787)
吉澤 晋 東北大学, 工学研究科, 教授 (30455802)
小俣 大樹 帝京大学, 薬学部, 講師 (80803113)
吉田 道春 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00795437)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / マイクロバブル / 超音波 / 血液脳関門開口 / 脳腫瘍 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳には血液と脳実質の間の物質移行を厳密に制御する血液脳関門が存在する。脳腫瘍やアルツハイマー病などの中枢神経系疾患に対する薬物治療において、血液脳関門が障壁となる。そのため、脳実質へと薬物送達可能な技術が求められている。近年、集束超音波とマイクロバブルを利用した血液脳関門の透過性亢進技術が注目されている。超音波照射によりマイクロバブルの収縮や膨張といった機械的作用が誘導され、血管内皮細胞間の密着結合が緩まり、血管透過性が亢進すると考えられている。そのため、マイクロバブルの収縮や膨張などの振る舞いに影響する超音波の周波数と音圧は、血液脳関門の透過性亢進において重要なパラメーターである。そこで本研究では、効率的かつ低侵襲的な血液脳関門の透過性亢進を行うために、脳への薬物送達と傷害性に及ぼす集束超音波の周波数と音圧の影響を検討した。マウスにリピッドバブルとモデル薬物としてエバンスブルーを静脈内投与し、脳に集束超音波 (周波数:0.25, 0.5, 1.0 MHz、音圧:0.1, 0.2, 0.4, 0.6 MPa) を照射した。1時間後に血液還流し、脳実質へのエバンスブルー移行を評価した。その結果、0.25 MHz、0.5 MHzの各音圧および1 MHzの0.6 MPaでは脳の広範囲において脳の広範囲においてエバンスブルーの漏出が認められた。一方で、1 MHzの0.4 MPaでは超音波集束部位でエバンスブルーの漏出が認められた。次に、各周波数において、エバンスブルー漏出が認められた最低音圧を用いて、血液脳関門の透過性亢進を誘導し、脳切片のヘマトキシリン・エオジン染色により傷害性を評価した。その結果、0.25 MHzと0.5 MHzでは赤血球の漏出が認められたに対して、1 MHzの0.4 MPaでは赤血球の漏出は認められなかった。これらの結果から、1 MHz、0.4 MPaの集束超音波照射条件を用いることで、標的部位に対して低侵襲的かつ効率的な血液脳関門オープニングを誘導できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、本研究で製作した0.25、0.5または1.0 MHzの各周波数の集束超音波装置を用いて、マウスにマイクロバブルとモデル薬物としてエバンスブルーを静脈内投与し、脳に集束超音波 (音圧:0.1, 0.2, 0.4, 0.6 MPa) を照射した。結果から、1 MHz、0.4 MPaの集束超音波照射条件を用いることで、標的部位に対して低侵襲的かつ効率的な血液脳関門オープニングを誘導できる知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにリピッドバブルとモデル薬物としてエバンスブルーを静脈内投与し、脳に集束超音波 (音圧:0.1, 0.2, 0.4, 0.6 MPa) を照射した。結果から、1 MHz、0.4 MPaの集束超音波照射条件を用いることで、標的部位に対して低侵襲的かつ効率的な血液脳関門オープニングを誘導できる知見を得た。この研究成果をもとに、マウスに対して小動物用MRI装置を用いて、MRI造影剤の漏出状態を検討し、さらに詳細な集束超音波照射条件を検討する。さらに、脳腫瘍移植マウスに対するリピッドバブルの傷害などの局所作用、BBBオープニングによる抗癌剤の抗腫瘍効果について検討する。
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