2020 Fiscal Year Annual Research Report
着用者動作への追従性と高アシスト力を両立する表面骨格型アシスト機構の開発と制御
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20H04564
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟洞 佑記 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20633548)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 福祉・介護用ロボット / 装着型アシストロボット / 制御工学 / 機械力学・制御 / 知能ロボティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、主に研究項目「表面骨格型アシスト機構の明確化」・「微小な接触力分布が計測可能な面状リンクの開発」・「体表面と同様に変形する面状アクチュエータの開発」・「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」に取組んだ。COVID-19の影響もあり想定よりも遅れが生じたため、次年度以降で遅れを取り戻す。詳細を以下に示す。 「表面骨格型アシスト機構の明確化」では、人の多様な動作に伴う体表面形状を計測でき、加えて、体表面の中での多様な動作においても剛体とみなせる領域の抽出アルゴリズムの実装はできた一方で、リンク部構造の決定には至らなかった。次年度早々に実装したアルゴリズムを改良し、リンク部構造を決定する。決定したリンク部構造を基に受動機構を試作し、機構の妥当性を検証する。これらの知見から「体表面と同様に変形する面状アクチュエータの開発」における面状アクチュエータ要件の明確化に取り組む。2021年度に主に取り組む予定であった「表面骨格型アシストロボットの試作と評価」と並行して実施することで、遅れを取り戻す予定である。 「微小な接触力分布が計測可能な面状リンクの開発」については、接触力計測原理の調査と機構の基礎検討を通して、静電容量型のセンサ構成とすることにした。腕部用のリンクにおいて、静電容量型の接触力分布センサ内蔵型リンク(40セルで接触力分布が計測可能)を試作、セルごとに独立した接触力が計測できることを確認した。 「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」は、面状アクチュエータ制御用のハードウェア・ソフトウェア環境が整ったため、ほぼ当初予定通り、次年度以降にアクチュエータ制御法の検討に着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に研究項目「表面骨格型アシスト機構の明確化」・「微小な接触力分布が計測可能な面状リンクの開発」・「体表面と同様に変形する面状アクチュエータの開発」・「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」に取組んだが、COVID-19の影響もあり、研究推進にやや遅れが生じている。 研究項目「表面骨格型アシスト機構の明確化」において、人の多様な動作に伴う人体表面形状を時系列点群データとして計測した。加えて、多様な動作においても点間の幾何的関係が変動しない点群(剛体とみなせる点群)を抽出、抽出した点群形状から面状リンク部形状を決定する手法は概ね実装できた。一方で、計測時の点のばらつきへ対応できるように手法を改良する必要があり、面状リンク部の決定までに至らなかった。次年度早々に手法を改良して、面状リンク部を決定し、受動機構を試作することで機構の妥当性を検証する。 研究項目「微小な接触力分布が計測可能な面状リンクの開発」では、接触力分布の測定方式を調査し、静電容量型や空圧型等の代表的な測定方式のセンササンプルを試作して計測性を比較・評価した。結果、静電容量型のセンサがリンク部一体型構成に適するとの知見が得られたため、静電容量型センサを内蔵した腕部リンク(円筒型・全40セル(腕長方向4セル・腕周方向10セル)・各セル20mm角)を試作した。指で触れる程度の比較的小さな力の接触であっても検知できることを確認した。 研究項目「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」では、2020年度までに制御機器等のハードウェア環境の構築は完了した。ソフトウェア実行環境も概ね整っており、面状アクチュエータの変形制御法を実装できる段階にある。構築した環境で、次年度以降に制御法の検討やアシストロボット試作機の制御を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に、まずCOVID-19の影響で遅れた研究項目の「表面骨格型アシスト機構の明確化」・「体表面と同様に変形する面状アクチュエータの開発」・「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」に取り組み、遅延分を取り戻す。加えて、2022年度の評価実験の実施に向け、「表面骨格型アシストロボットの試作と評価」に取り組む。 まず、研究項目「表面骨格型アシスト機構の明確化」において、2020年度に構築した手法を改良し、面状リンク部を決定する。面状リンク部間を伸縮布で接続した受動的な装着機構を製作し、着用者の動作への追従性を確認する。決定した面状リンク形状をモデル化し、時系列点群データとフィッティングすることで、動作中に生じる面状リンク間の相対位置・姿勢変化を明らかにする。「体表面と同様に変形する面状アクチュエータの開発」において、明らかにした面状リンク間の相対位置・姿勢変化を、面状アクチュエータの設計と制御の要件とし、要件を満たす面状アクチュエータを製作する。 また、研究項目「接触力分布に基づく面状アクチュエータの制御」について、2020年度に構築したハードウェア・ソフトウェア環境に、幾つかの変形制御法を実装してリンク間の相対位置・姿勢の制御性能を確認、必要に応じて制御法を改良する。 「表面骨格型アシストロボットの試作と評価」では、2022年度の評価実験の実施に向けてアシストロボットを試作する。まずは上半身用の表面骨格型アシストロボットをジャケット型(羽織って前部をファスナーで固定)を想定して試作する予定である。
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Research Products
(1 results)