2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of high resolution laser spectroscopy in the vacuum ultraviolet region and its application to laser cooling of anti-hydrogen
Project/Area Number |
20H05642
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
桂川 眞幸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10251711)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 真空紫外 / 高分解能レーザー分光 / 誘導ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は、光の位相を任意に操作する技術を非線形光学過程に組み込むことで非線形光学過程を自在に操作する着想を持ち、実際に実験でそれを原理実証した。この研究プロジェクトではこの成果をさらに発展させ、応用に耐えうる成熟した真空紫外単一周波数波長可変レーザー技術として、その着想を現実に確立することを目指している。 これまでに可視域における±3次までの誘導ラマン散乱光発生を対象にした原理実証実験を完了し、高次の非線形光学過程も含めて着想したコンセプトが現実に機能することを確かめた。また、この原理検証結果を土台として、コンセプトを真空紫外域における非線形光学過程に拡張する技術開発に取り組んだ。しかしながら、実験を進める過程で、位相の操作のために媒質中に挿入した分散板からの弱い表面反射光が銅壁に当たり、そこで発生する金属プラズマに起因すると思われる光損傷が分散板に生じることが分かった。長期間、安定に実験をおこなうためには解決しなければならず、この問題を解決するために、銅セル内壁に内接する石英ガラス筒を挿入する解決法をとった。特殊形状の石英ガラス筒を製作し、それを銅セルに装着して、大気開放環境、室温水素気体封入環境、低温水素気体封入環境と段階的にテストをおこない、光損傷の問題がこの方法で回避できることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次の非線形光学過程も含めて着想したコンセプトが現実に機能することを確かめることができ、また、コンセプトを真空紫外域における非線形光学過程に拡張する技術開発に取り組むことができた。位相の操作のために挿入する分散板の金属プラズマに起因すると思われる光損傷の問題から、これを解決するためのトラブルシューティング作業に長い時間を割かなければならなくなったが、対策を丁寧に進めていった結果、この問題を回避し、長期間安定に真空紫外発生実験を実施できる環境を構築することができた。当初の計画に近い状況に復帰でき、ここまで概ね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに可視域における±3次までの誘導ラマン散乱光発生を対象にした原理実証実験を完了し、高次の非線形光学過程も含めて着想したコンセプトが現実に機能することを確かめた。また、位相の操作のために挿入する分散板の金属プラズマに起因する光損傷の問題も解決し、長期間安定に真空紫外発生実験を実施できる環境を構築することができた。次年度以降は、真空紫外発生実験を本格的に開始し、発生に関わる基本的なパラメーターの系統的な計測・評価と真空紫外発生レーザー光の定量評価をおこなう。さらに、これらの結果を踏まえて、位相操作を組込む実験に取り組む。
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Research Products
(1 results)