2020 Fiscal Year Annual Research Report
フェリ磁性スピントロニクスの学理構築とデバイス展開
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20H05665
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
フェリ磁性体は、2種類の磁気モーメントが反強磁性的に結合しながらも正味の磁化を有する物質である。磁化の大きさは組成や温度で調整可能で、2種類の磁気モーメントが完全に打ち消し合い反強磁性体のように磁化がゼロとなる状況も実現可能である。研究代表者らは、フェリ磁性GdFeCo合金が「磁化を持つ反強磁性体として振る舞う」ことを最近見いだした。本研究では、フェリ磁性体の「磁化を持つ反強磁性体」としての振る舞いの普遍性と多様性を明らかにすることで、「フェリ磁性スピントロニクス」という新しい学理を構築し、デバイス応用へ展開することを目的とする。本研究課題の核心をなす学術的「問い」は、フェリ磁性体の新しい側面「磁化を持つ反強磁性体としての振る舞い」は「普遍的なものか?」、そして「革新的デバイス応用へつながるか?」である。この学術的「問い」に答えるために、本研究では、(1)フェリ磁性体の磁化を持つ反強磁性体としての振る舞いの普遍性と多様性を明らかにするとともに、(2)その特徴を活かしたデバイス応用への展開を図ることで、フェリ磁性スピントロニクスの基盤を構築する。本年度は、多層膜構造の人工フェリ磁性体の作製および磁化特性の評価を行い、さらに人工フェリ磁性体中の磁壁移動について調査した。その結果、作製した人工フェリ磁性体薄膜が磁化補償温度を持つこと、調査した温度と磁場範囲で作製した人工フェリ磁性体中の磁壁移動がクリープ領域にあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、多層膜構造の人工フェリ磁性体の作製および磁化特性の評価を行い、人工フェリ磁性体中の磁壁移動について調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づいて研究を遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)