2020 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Neurophotonics and Elucidation of Brain Functions
Project/Area Number |
20H05669
|
Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (50291084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎木 亮介 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 准教授 (00528341)
大友 康平 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 准教授(兼任) (40547204)
横山 弘之 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60344727)
|
Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | バイオイメージング / 高機能レーザー / 光脳科学 / 神経生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、光技術と神経科学が融合した新しい学際的な領域「ニューロフォトニクス」を確立し、生体中のありのままの状態で神経活動やそれに関わる生体分子のダイナミクスを可視化し、定量的な解析を可能とすることを目標とした。これにより機能性疾患の診断・治療の開発への扉を開き、国民の健康と福祉に寄与せんとするものとした。そのため、研究項目(1):新規多波長光源を用いた超解像顕微鏡-「2光子ナノスコープ」の構築、研究項目(2): 光ニードルを用いた超高速in vivoイメージング法の研究開発、研究項目(3):新規蛍光分子プローブの研究開発、研究項目(4):新規小型高機能光源の研究開発を開始した。特に、研究協力者から提供受けた透過型液晶デバイス、東北大グループからの技術協力により、超解像イメージングの空間分解能の向上を試みた。その結果、厚い標本への適用を試み空間分解能の向上に成功し、Thy1-H-YFP-lineマウスの海馬固定スライス標本の深部において、蛍光抗体染色法を用い樹状突起スパインの超解像観察への条件を最適化した。また、新規光源開発においては、GFP、YFP、RFPなどの主要な蛍光タンパク質を二光子励起できる多波長のピコ秒パルス光源およびそれとタイミング同期可能な多波長のSTED用サブナノ秒パルス光源の実現に向けて、まず光源系全体の機能設計を行った。その核心は、独自の利得スイッチング半導体STED用パルス光源の基本機能を確認した。レーザー(GS-LD)技術をベースに、上記2種類の光源を構築することにある。そして、GS-LDからのサブナノ秒光パルスによるスーパーコンティニュウム(SC)光発生に基づいて、電気的に周波数やタイミング制御可能なSTED用パルス光源の基本機能を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究項目について予備的に実験や理論的なシミュレーションを実施し、実現可能であることを確認すると共に、最適なパラメーターの検討を実施した。一方、我々の二光子イメージングが、新たにAI技術を用いたがんスフェロイドサイプルでの細胞内シグナルの3次元リアルタイム可視化解析にも有用であることが明らかになった。また、新規小型高機能光源の研究開発については、主要な蛍光タンパク質を二光子励起できる多波長のピコ秒パルス光源およびそれとタイミング同期可能な多波長のSTED用サブナノ秒パルス光源の実現に向けて、理論的検討も含めてまず光源系全体の機能設計を行った。そして、上記2種類の光源の機能実現のためには、電気的に柔軟に制御することが可能なGS-LD技術をベースにするのが良策であるという判断のもとで光源の構築を進めた。また、独自のGS-LD技術に基づいて、標準的な蛍光タンパク質のほとんどに対応可能な二光子励起光源およびタイミング同期可能なSTED光源が形になってきた。今後、これらの光源を駆使することで、従来にない超解像ナノバイオイメージングの成果が得られると予測される。また、光源系の要素技術であるLDの高速制御、光増幅器、非線形波長変換に関しても技術が進展して、小型・高安定で実用性に優れた高機能バイオイメージング光源の基盤全体を堅固にすることができる。なお、新型コロナウイルス感染症の影響のため、初年度(令和2年8月~令和3年3月)に実施予定であった研究計画をやむを得ず次年度に延長したが、さまざまな方策を工夫することにより最終的にはリカバリーに成功し完遂した。このように本研究課題は、光科学と脳神経科学の融合した学際分野「ニューロフォトニクス」の構築を推進するのみならず、想定を越えて、精神疾患や生体リズムなどの多様な脳神経科学分野や医学応用において、その適用可能性が拡大できることが確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、光技術と神経科学が融合した新しい学際的な領域「ニューロフォトニクス」を確立を目指し、生体中のありのままの状態で神経活動やそれに関わる生体分子のダイナミクスを可視化技術の確立を目指す。そのため、引き続き、研究項目(1):新規多波長光源を用いた超解像顕微鏡-「2光子ナノスコープ」の構築、研究項目(2):光ニードルを用いた超高速in vivoイメージング法の研究開発、研究項目(3):新規蛍光分子プローブの研究開発、研究項目(4):新規小型高機能光源の研究開発について研究開発を推進する。さらに得られた成果に基づき、二光子ナノスコープによる神経活動・分泌のin vivoイメージング法を完成させることを目的として推進する。また、麻酔下のマウスに頭蓋骨窓を作成するオープンスカル法を用いて、大脳皮質や海馬で、神経活動のin vivo イメージングを試みる。特に、活動する神経細胞におけるシナプス前終末、シナプス後部、樹状突起スパインなどの微細構造の変化と神経伝達物質の開口放出の可視化解析の可能性の検討を開始する。また、二光子光ニードル顕微鏡との併用により、同一の観察対象に対して、神経活動を広範囲で高速イメージングの手法の手法を引き続き検討する。また、前年度の成果に基づいて、STED用パルス光源の波長可変性、パルス周波数可変性、パルスタイミング制御性、パルス幅可変性、パワー可変性、出力揺らぎ等についての詳細な実験的研究を進める。
|
Research Products
(22 results)