2023 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Neurophotonics and Elucidation of Brain Functions
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20H05669
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 教授 (50291084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎木 亮介 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 准教授 (00528341)
大友 康平 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40547204)
石井 宏和 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 助教 (70743409)
高橋 泰伽 東京理科大学, 先進工学部機能デザイン工学科, 助教 (80968248)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | バイオイメージング / 非線形光学 / 神経科学 / Ca2+シグナル / 高機能レーザー / 生体リズム / ボリュームイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光光子飛翔時間計測を用いたナノ秒タイムゲート蛍光検出器による二光子ナノスコープ(全パルス式二光子STED顕微鏡)の空間分化能の向上について原著論文として発表した。また、時空間蛍光相関解析による 2光子超解像イメージングのマウス生体脳深部への適用について原著論文として発表した。また予期していなかった生体リズムに関する神経細胞生理学的な知見を得ることにも成功した。さらに、これまでに技術開発を行ってきたスピニングディスク共焦点スキャナを用いた多点走査型二光子顕微鏡システムに液体レンズを実装し、マウス脳のin vivoボリュームイメージングを実施した。これにより、大脳皮質II/III層の数十μm厚領域について、数HzのCa2+応答の可視化に成功した。一連の技術開発について原著論文として発表した。また、上述のライブイメージングにより得られる情報をポストホックに補完する目的で、マウス脳全細胞三次元可視化を鑑みた新たな光シート顕微鏡の開発に着手しており、成果の一部をプレプリントとして報告した。一方、前年度から開発を行ってきた新規材料を用いたマウス脳の広範囲in vivoイメージング技術として、ナノ薄膜と光硬化性樹脂を組み合わせた広範囲観察窓の作成法の確立に成功した。この手法を用いることで、既報のナノ薄膜による広範囲観察窓を覚醒下のマウスでも適用可能になった。加えて、長期間にわたって大脳皮質から小脳に至る超広範囲の同一の神経細胞群を生きた状態のマウスから可視化できることを実証した。また、開発した手法をNIRE法(Nanosheet Incorporated by light curable REsin)と名付け、一連の成果をまとめた原著論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題で推進するニューロフォトニクスの展開から、計画時には予期していなかった中枢神経系の生体リズムに関する新たな神経科学的な知見を得ることに成功した。特に、極低温下における概日時計中枢のリズム発振機構に関する新たな知見を得ることができた。特に視交叉上核の神経細胞における細胞内カルシウムおよび時計遺伝子転写のリズムは低温により停止しリセットすることが新たに判明した。さらに概日リズムを司る視交叉上核神経細胞における細胞内オルガネラの概日リズムの発生機構についても、可視化解析により新たな知見を得た。また、温度イメージングによる生細胞内の熱物性計測と温度分布の再構築など波及的な展開を得た。 前年度の光ニードル顕微鏡法に加え、本年度、多点走査型二光子顕微鏡の改変による高速ボリュームイメージングが可能となった。三次元構造を有する脳内ネットワークの時空間的な構造をとらえる顕微鏡ハードウェアとしては、最終年度を待たずに技術開発の目処がついたといえる。また、研究開始当初は想定していなかったマウス脳の全細胞解析ツールとしての光シート顕微鏡の技術開発への展開が進んでいることは、計画以上の進展といえる。 また、高い光透過性を有する光硬化性樹脂によりナノ薄膜を固定・保護することで機械的強度を高める手法を確立した。この手法により、覚醒状態のマウス観察時に生じていた体動による視野ブレを低減するとともに、およそ半年に及ぶ長期観察を実現することに成功した。また、ナノ薄膜の止血能と柔軟性を利用することで、これまで大脳皮質のみに制限されていた観察窓作成領域を、大脳皮質と小脳を同時に観察可能な超広範囲に拡張することに成功した。本手法は、これまで困難であった複数の脳領域の同時計測を長期間にわたり可能とし、高次脳機能の解明や精神・神経疾患の機序解明に寄与すると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究開発の成果に基づき、「ニューロフォトニクス」という新規概念の構築の完成とその応用可能性の探究を目指す。二光子ナノスコープによるin vivoイメージング法の高度化により、マウス生体脳における神経活動の超解像in vivo イメージングの実現を図る。また、生体リズムに関する中枢神経系の機能と分子的基盤についての新たな知見も得られつつあるので、さらなる研究を実施する。また、光ニードル顕微鏡法について、現状の顕微鏡フィルターキューブアドオン型デバイスに改変を加え、操作性の向上を図る。新規に参画する東北大学 多元物質科学研究所 小澤祐市教授との連携により、簡便性を損なわない新たなデザインを見出し、制作・システム実装を行う。また、開発した新規光シート顕微鏡法については本年度早々に原著論文として出版する。これまでに開発してきたin vivoイメージングのための二光子顕微鏡技術と併せ、脳機能研究に資する可視化解析ワークフローの樹立を目指す。 また、本年度までに確立した広範囲観察窓作成手法の高度化を進め、広範囲観察窓の脳深部領域での高解像度観察の実現を行う。現在使用している光硬化性樹脂を、光透過性、機械的強度や硬化時間等の観点から代替可能な素材を選定する。これにより、光路中の光学的擾乱を低減することで取得蛍光輝度の向上を目指す。また、広範囲観察像の高解像度化においては、これまでに開発を進めてきた計算補償光学技術や時空間蛍光相関解析などを含めた画像処理による方策の検討も進める。 このように本研究課題で補償光学、光渦、ベクトルビームなどのレーザー波面の積極的な操作によって、非線形光学顕微鏡の基盤技術・基礎性能の進展を実現した。それらを新たに点像分布関数エンジニアリングという概念の元で統合化することで、より普遍的なものへと導くことを志す。
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Research Products
(66 results)