2020 Fiscal Year Annual Research Report
The prototype, and evolution, of the system which adapt plant growth to its environment through the signaling molecule, strigolactone.
Project/Area Number |
20H05684
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
経塚 淳子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90273838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 崇人 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (60373346)
山口 信次郎 京都大学, 化学研究所, 教授 (10332298)
嶋村 正樹 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (00432708)
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20285307)
瀬戸 義哉 明治大学, 農学部, 准教授 (40620282)
亀岡 啓 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (00759152)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 植物ホルモン / 根圏シグナル物質 / AM菌共生 / 植物の陸上進出 / 進化 / 成長の最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) コケ植物フタバネゼニゴケのSL (Bryosymbiol(BSB))を同定した。BSBの構造を(R)-5-((E)-((4R,5S)-4-hydroxy-2-oxo-5-(2,6,6-trimethylcyclohex-1-en-1-yl)dihydrofuran-3(2H)-ylidene)methoxy)-3-methylfuran-2(5H)-oneと決定した。BSBはシダ植物や種子植物からも検出されたことからBSBは陸上植物の共通祖先が生産していた祖先型SLであることを示した。 (2) ゼニゴケ近縁種においてAM菌共生を行う種はBSBを合成すること、フタバネゼニゴケのSL合成酵素遺伝子欠損変異体ではBSBを合成せず、AM菌との共生能を失ったことから、コケ植物においてもAM菌との共生にSLが必須であることが示された。すなわち、根圏シグナル物質としてのSLの機能は陸上植物の共通祖先まで遡ることを明らかにした。 (3) SL受容体D14は種子植物の共通祖先においてKARRIKIN INSENSITIVE2 (KAI2)の遺伝子重複により生じた。このためD14をもたないコケやシダにおけるSLの受容は不明であった。これについて、フタバ ネゼニゴケで生合成されたSLは細胞内では受容されないことを示した。すなわち、ストリゴラクトンは土壌中に分泌されてAM菌との共生を促進する根圏シグナル物質として起源し、KAI2の遺伝子重複によりD14が獲得されたことにより細胞内で受容され、植物ホルモンとして植物の成長制御にも直接関わるようになったことを実験的に証明した。 (4) KAI2信号伝達はコケ植物が分岐するまでには進化した。ゼニゴケKAI2信号伝達系は、環境に合わせて栄養繁殖を調節するという機能を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトでは、根圏シグナル物質として植物とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)との共生を促進し、また、植物ホルモンとして成長を調節するというストリゴラクトンの二重機能の起源を明らかにすることを第1の目的としていた。これについて、ストリゴラクトンは根から分泌されてAM菌との共生を促進する物質として陸上植物の共通祖先において起源し、それ以降に種子植物の共通祖先において植物ホルモンとしての機能を獲得したことを実験的に証明できた。また、陸上植物の共通祖先が合成するストリゴラクトン(Bryosimbiol)を同定し、その立体構造を解明した。 ストリゴラクトンの受容体をコードするD14遺伝子は、種子植物の共通祖先でKARRIKIN INSENSITIVE2 (KAI2)遺伝子の遺伝子重複により誕生した。KAI2受容体がシグナル物質を受容することにより起こる信号伝達系はコケ植物でも機能する。この機能が、コケ植物の栄養繁殖の制御であるという新規知見を得ることができた。 さらに、コケ植物において、KAI2信号伝達の下流で機能するDienelactone hydrolase protein1 (DLP1)がSLの制御に関わる可能性を示唆する予備的結果を得た。これは、当初予想していなかった成果であり、研究の発展につながるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) KAI2信号伝達系の祖先的機能の解明:KAI2信号伝達系では、受容体KAI2がリガンドを受容するとSMXLタンパク質が分解され、下流の遺伝子は抑制が解除されて機能を開始する。KAI2信号伝達系がゼニゴケの栄養繁殖を制御する分子機構を明らかにするために、SMXLにより発現よくされる遺伝子群を特定し、その機能や調節機構を明らかにする。 (2) KAI2信号伝達とSL合成の調節:IENELACTONE HYDROLASE PROTEIN1 (DLP1)はαβ加水分解酵素ファミリーに属し、KAI2信号伝達系により遺伝子発現が促進される。DLP1がSLを基質とするという予備的結果は、KAI2信号伝達系とSLとの関連を示す。今後は、DLP1の酵素学的解析、生物学的な機能解析、KAI2信号伝達系との遺伝学的関係などを総合的に解析し、二つの経路の相互作用を明らかにする。 (3) KAI2のリガンド(KL)の同定:KL信号伝達下流遺伝子の発現を指標にイネ実生を用いて活性画分の単離を進める。また、遺伝学的にKLを単離することを試みる。このため、ゼニゴケを用い、KL信号伝達系遺伝子をマーカーとして、KL合成に関わる遺伝子の変異体をスクリーニングする。
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Research Products
(27 results)
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[Presentation] DIENELACTONE HYDROLASE LIKE PROTEIN1 negatively regulates KAI2-ligand pathway in Marchantia polymorpha2021
Author(s)
Hiromu Kameoka, Shota Shimazaki, Yohei Mizuno, Kyoichi Kodama, Aino Komatsu, Akiyoshi Yoda Kiyoshi Mashiguchi, Bunta Watanabe, Masanori Okamoto, Takahito Nomura, Shinjiro Yamaguchi, Junko Kyozuka
Organizer
日本植物生理学会第62回年会
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