2021 Fiscal Year Annual Research Report
From the structure-function relationship of dendrtic spines to synaptic mechanobiology
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20H05685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河西 春郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60224375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳下 祥 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (50721940)
UCAR HASAN 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (50748423)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | シナプス / スパイン / 記憶 / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
A)スライス、単離培養を共用して、圧効果の即時相の性質をグルタミン酸センサーiGluSnFRと電気刺激それにSNARE-FRET/FLIM法を用いて調べ、持続相においては小胞クラスターの変形とそれによる動員の亢進をSTEDによる膜画像を用いて調べてきた。目標としていた基本的な力学的伝達の論文をNature 2021に発表した。それに続いて、単離培養で方法論を確立することにより、即時相と持続相の成因について意外な仮説を持つに至っている。我々は、光遺伝学とiGluSnFRの同時利用という世界の他の研究室が達成できない技術を用いているが、この段階でも、まだ、更に、遺伝子導入法について改良を加え、より調査を進めやすいようにしている。
B)単離培養標本を用いて標識の根幹に関わる分子フレームの最適化を行う。開発されたプローブを個体に適用し、活動依存性や光操作の検証し、最終的には記憶行動の操作的改変ができた動物の脳各部の神経細胞の標識シナプスの分布を精細に調べてきた。 分子プローブについて、樹状突起標的配列について抜本的な改善が為され、標識特異性が数倍あがった。一方、スパインへの分子標識についても沢山の標的法をスクリーニングする中で、Deep Mindのalpha-fold2を用いた独自のデザインのプローブにおいて、高いスパイン集積性、輝度、低毒性、操作プローブの感受性の改善が得られた。これをレンチウイルスで個体の皮質にスパースに発現することを確認した。このプローブを応用すべき信頼性の高い腹側線条体を用いた行動実験を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
A) 圧効果についてはNature誌に発表することができた。この仕事は、シナプスのメカノバイオロジー療育を開く物として、内外で注目されている。大脳のシナプスが0.5kg/cm2と筋肉並みの力を出し、また、受容する器官であるという全く新しい描像を切り拓いた。その後の研究についても、単離培養細胞やスライスを用いた実験が軌道に乗ってきており、予想外の方向性が見えつつある。 B) 記憶シナプス標識プローブについては、培養細胞を用いたアッセイ系を構築することにより、活動依存的標識特異性を上げる抜本的な改良を行った、更に、スパイン標的を根本的にあげる新手法の構築に成功した。これらの新手法は、現在確認作業を続けているが、将来において広い応用が期待される。この標的法は、A)において生理的に広範に圧を誘発する新手法を誘導するものかも知れない。記憶プローブを個体で検証する際に信頼性のおける新しい腹側線条体を用いた行動実験を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の河西は定年に伴い東京大学大学院医学系研究科教授から2020年4月1日に東京大学国際高等研究所・ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)特任教授に異動する。この際、これまで実験で使用してきた医学部1号館は本部の所轄となったので、WPI-IRCNが貸与を受けることで、ほぼ同じ研究室の使用を継続することができた。医学部1号館内を移動しなければいけない部分もあるが、4月中には引っ越しは終わる予定である。分担研究者の柳下講師の所属は医学部で変わらない。分担研究者のUCAR Hasanはニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)特任助教で変わらない。 現在、順調に実験が動いており、この流れを進めていくばかりとである。圧効果の持続相に小胞クラスターの分散があるのについては、驚きであり、その具体的検証を進め、その因果関係を知ることが、分子阻害法を考え、個体機能を操作的に解明する道を拓く。 単離培養におけるプローブのスクリーニングから個体動物のアッセイに持ち込む実験系ができてくれば、AS/BSプローブの抜本的な改良だけでなく、軸索圧効果の阻害系を組んでいくことも可能となる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A behavioural correlate of the synaptic eligibility trace in the nucleus accumbens.2022
Author(s)
Yamaguchi, K., Maeda, Y., Nakazato, R., Iino, Y., Sawada, T., Tajiri, M., Ishii, S.
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Journal Title
Scientific reports
Volume: 12
Pages: 1921
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Mechanical actions of dendritic-spine enlargement on presynaptic exocytosis.2021
Author(s)
. Ucar, H., Morimoto, Y., Watanabe, S., Noguchi, J., Iino, Y., Yagishita, S., Takahashi, N. & Kasai, H.
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Journal Title
Nature
Volume: 600
Pages: 686-689
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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