2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of signal transduction of stomatal movements and regulation of plant growth
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20H05687
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 俊則 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 教授 (50271101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢守 航 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90638363)
佐藤 綾人 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (10512428)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 植物 / 環境応答 / シグナル伝達 / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、気孔開口の必須酵素である細胞膜H+-ATPaseの脱リン酸化に関わる新たな重要因子PP2C.Dsを同定した(Plant Physiology 2022)。これにより、気孔の青色光シグナル伝達における光受容体(フォトトロピン)、シグナル因子(BLUS1, BHP)、シグナル伝達の最終標的分子(細胞膜H+-ATPase)とその活性調節因子が明らかとなったことになり、転写を伴わない植物の細胞内シグナル伝達として、ここまで分子機構の明らかとなった例は少ない。さらに、GFP-PP2C.D9を用いた免疫沈降により、未知の共同沈降タンパク質に加え、上記のすべてが含まれることを見出しており、細胞内でシグナロソームを形成している可能性が強く示唆されている。現在、網羅的なタンパク質相互作用解析を進めており、青色光受容体から細胞膜H+-ATPaseまでをタンパク質の相互作用の繋がりとして証明することができれば、植物の特徴的なシグナル伝達経路の完全解明として生物学分野に大きく貢献できると考えている。また、孔辺細胞での関与は現在解析中であるが、TMKsが50年以上探し求められていた根や葉における細胞膜H+-ATPaseのリン酸化を触媒するキナーゼを同定した成果として、Nature 2021a、Nature 2021bに発表し、植物生理学分野の進展に大きく貢献した。 加えて、モデル樹木ポプラにおいても、孔辺細胞の細胞膜プロトンポンプの発現を高めることで、気孔開口が促進され、成長速度や光合成が促進されることを証明し、草本だけでなく、木本においても利用可能な技術であることを実証した(Frontier in Plant Science 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目として掲げている研究が順調に進捗しており、それらの研究成果として原著論文を23報発表した。これらから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目1、孔辺細胞のH+-ATPaseのリン酸化制御に関わるキナーゼ・ホスファターゼの解析。現在、青色光シグナル伝達因子を用いた網羅的なタンパク質相互作用解析を進めており、青色光受容体から細胞膜H+-ATPaseまでをタンパク質の相互作用の繋がりとして証明すること目指す。さらに未知の共同沈降タンパク質の機能解析を進め、フォトトロピンから細胞膜H+-ATPaseに至るシグナル伝達の全貌解明を行う。また、葉や根の細胞膜H+-ATPase のキナーゼとして同定したTMKsの孔辺細胞のH+-ATPaseへの関与を明らかにし、TMKsの相互作用因子の探索を進める。 研究項目2、網羅的ホスホプロテオミクスによる気孔開・閉調節因子の探索。これまでのホスホプロテオミクスをもとに気孔開口への関与が明らかとなった因子の解析に加え、その他の候補(約50タンパク質)についても解析を進める。 研究項目3、気孔開度に影響を与える化合物の同定と作用機作の解明。気孔開度に影響を与える化合物の網羅的スクリーニング(約3万化合物)により同定した気孔開口を抑制する247化合物、促進する5化合物について解析をさらに進める。また、研究分担者の佐藤と進めている化合物の構造活性相関解析とアフィニティー精製を進め、気孔開度制御のシグナル伝達機構を解明する。 研究項目4、気孔開度制御した植物体の成長促進や乾燥耐性の付与。遺伝子組換え技術に頼らない「ポンプ植物」の確立を目指し、ゲノム編集によりシロイヌナズナの細胞膜H+-ATPaseのプロモーター領域に変異を導入することで、H+-ATPaseの発現が高まった植物体に確立を進める。さらに、現在、光合成に直接関わる遺伝子とH+-ATPaseの同時形質転換体(ピラミッティング植物)の表現型観察も進めていく。
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Research Products
(42 results)
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[Book] 光合成2021
Author(s)
日本光合成学会
Total Pages
224
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-17176-1
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