2023 Fiscal Year Annual Research Report
Neurogenesis and its pathogenesis in the neonatal brain: an integrated understanding using advanced analytical techniques
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20H05700
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
澤本 和延 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90282350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00281824)
木村 幸太郎 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20370116)
財津 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30700546)
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Project Period (FY) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 再生医学 / 神経化学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後脳におけるニューロン新生と細胞移動・成熟の過程を、先端分析技術を駆使して大規模・高解像度に研究し、その特徴を明らかにするとともに、脳障害の病態を解明することを目的として、以下の研究を実施した。 (1)生後のニューロン新生と細胞移動を支える組織構築の三次元微細形態解析:神経幹細胞および移動する新生ニューロンの微細形態と接着様式などを三次元的に 理解するため、連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM) による観察を実施した。昨年度までに撮像した画像を引き続き解析した結果、広範囲にわたる電子顕微鏡画像の3次元構築像を得る事ができた。それにより、脳室下帯に存在する細胞群の微細形態学的な特徴について新しい情報が得られた。 (2)ニューロン新生・移動を制御する分子のスクリーニング:マウス脳室下帯の細胞集団の単一細胞網羅的遺伝子発現解析(scRNAseq)を実施している。細胞ごとの遺伝子発現情報を詳細に分析することにより、細胞の変化に関する情報が得られた。 (3)新生児期のニューロン新生機構と早産による影響:正期産・早産マウスの脳室下帯細胞の微細形態および細胞間の接着関係を比較解析を継続した。また、探針エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(PESIMS/MS)を用いて得られた情報とscRNAseqのデータを統合し、早産で変化する代謝経路に関連した遺伝子群を特定した。 (4)新生児期のニューロン新生・移動を調節する分子機構と操作技術の開発:昨年度までの研究によって抽出された分子群を、ウイルスベクター等による遺伝学的手法又は薬理学的な方法で操作し、新生児期における機能を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SBF-SEM解析を継続し、従来よりも大規模な3次元細胞像再構築像を得ることができた。これにより、脳室下帯に存在する細胞群の接着関係や全体の構造を初めて理解することができた。scRNAseqとメタボロームのデータを統合し、新生児期の神経幹細胞における代謝変化に連動して発現が変化する遺伝子についての情報が得られた。応募時に提案した各項目の研究計画については、大部分が完了し、新生児脳のニューロン新生とその病態に関する多くの知見が得られた。成果を複数の論文にまとめ、投稿中または作成中となっている。 従って、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)生後のニューロン新生と細胞移動を支える組織構築の三次元微細形態解析:三次元電子顕微鏡技術等を用いて明らかになった、脳室下帯を構成する細胞群の形態学的特徴と接着様式の解析を完了し、成果を論文にまとめる。 (2)ニューロン新生・移動を制御する分子のスクリーニング:脳室下帯細胞のscRNAseq解析によって示唆された、脳室下帯に存在する各細胞群の変化を実験によって確認にする。scRNAseqによって得られる遺伝子発現情報とメタボローム解析によって得られた代謝産物のデータを統合して得られる情報をさらに詳細に解析する。 (3)新生児期のニューロン新生機構と早産による影響:早産マウスの脳における新生ニューロンの移動効率をさらに詳細に解析し、正期産マウスと比較する。ヒトに類似した脳構造を有するモデル動物の神経幹細胞、前駆細胞および新生ニューロンの形態や遺伝子発現をさらに詳しく解析し、マウスとの違いを検討する。 (4)新生児期のニューロン新生・移動を調節する分子機構と操作技術の開発:これまでの解析から見いだされた新生児期のニューロン新生等に関与する分子メカニズムについて、引き続き各々の機能を解析するとともに、それらを操作することによってニューロン新生と脳機能の発達を改善させる方法を検討する。
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[Journal Article] Identification of the growth cone as a probe and driver of neuronal migration in the injured brain.2024
Author(s)
Nakajima C, Sawada M, Umeda E, Takagi.T, Nakashima N, Kuboyama K, Kaneko N, Yamamoto S, Nakamura H, Shimada N, Nakamura K , Matsuo K, Uesugi S, Veprek N, Kullmer F, Nasufovic V, Uchiyama H, Nakada M, Otsuka Y, Ito Y, Herranz-Perez V, Garcia-Verdugo JM, Ohno N, Arndt H, Trauner D, Tabata Y, Igarashi M & Sawamoto K
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 15
Pages: 1877
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Polysialic acid-mediated adhesion inhibition promotes the collective migration of neurons and recovery of brain function2024
Author(s)
松本真実, 松下勝義, Wen Chentao, 榑松千紘, 太田晴子,Huy Bang Nguyen, Truc Quynh Thai, Vicente Herranz-Perez, 澤田雅人, 木村幸太郎, Jose Manuel Garcia-Verdugo, 石龍徳, 大野伸彦, 澤本和延
Organizer
2023 年度 NCU ライフサイエンス・ 脳神経科学研究所 合同リトリート セッション1
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[Presentation] 傷害脳内のニューロン移動を制御する成長円錐の同定2024
Author(s)
中嶋智佳子、澤田雅人、梅田恵里花、高木佑真、中島徳彦、久保山和哉、金子奈穂子、山本悟暁、中村春野、島田直樹、中村耕一郎、松野久美子、上杉昭二、Nynke A. Veprek、lorian Kullmer、Veselin Nasufovic、内山 博允、中田 克、大塚 祐二、伊藤 泰行、大野 伸彦、Hans-Dieter Arndt、Dirk Trauner、田畑 泰彦、五十嵐 道弘、澤本 和延
Organizer
第17回神経発生討論会・第20回成体脳のニューロン新生懇談会合同大会
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[Presentation] Neuronal migration depends on blood flow in the adult olfactory bulb2023
Author(s)
Takashi Ogino, Akari Saito, Masato Sawada, Shoko Takemura, Jiro Nagase, Honomi Kawase, Hiroyuki Inada, Vicente Herranz-Perez, Yoh-suke Mukouyama, Masatsugu Ema, Jose Manuel Garcia-Verdugo, Junichi Nabekura and Kazunobu Sawamoto
Organizer
第20回国際シンポジウム「味覚嗅覚の分子神経機構」嗅覚セッション(ISMNTOP2023)
Int'l Joint Research / Invited
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