2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an adaptive evolution method for the creation of enzymes operable over a wide temperature range
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20J00010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 悠 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 酵素 / 指向性進化法 / Kosmotoga / 温度適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体触媒である酵素タンパク質は利用される場に応じて、その機能改良が求められる。従来の酵素の指向性進化法では、特定の中低温で高活性化させる、もしくは、酵素の性質を耐熱化させるといった一方向的な技術であった。そこで本研究では、トレード・オフの関係にある耐熱性と中低温での高い活性を両立する「広」 温性酵素の新規創出法を開発する。その戦略として、幅広い温度範囲において生育可能な広温菌を用いることで、宿主を変えることなく酵素の低温高活性化や耐熱化を試みる。当該年度はデータベースによる広温菌候補の探索と各種候補株の培養系の確立を試みた。 まず広温菌の候補株を探索するために、これまでに単離されてきた約2万種の原核生物の記載論文を調べ、最低、至適、最高生育温度の決定されている8,639株の生育温度をまとめたデータベースを構築した。その上でデータベースを利用して、広温菌の候補としてKosmotoga oleariaを選抜した。K. oleariaの嫌気培養試験を行い、各温度での増殖を確認した。当初の予想よりも一部の温度条件にて増殖速度が遅かったが、培地の調製手順を工夫することでK. olearia を37℃から65℃まで安定して増殖させることに成功した。また、15種類の抗生物質を使用して同株の薬剤耐性についても検討し、利用可能なマーカー遺伝子を選抜した。現在、自律複製型とゲノム組み込み型の2種類のプラスミドを用いた形質転換系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原核生物の生育温度をまとめたデータベースを構築し、温度に基づく微生物研究のためのプラットフォームを提供した。また、K. oleariaの培養系を確立し、形質転換用のプラスミドの構築に成功している。以上の結果より、本研究課題の遂行に必要なデータや菌株、分子材料が整ったといえる。なお、データベースに関する論文は査読付き国際学術雑誌に掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築したプラスミドを使用してKosmotoga属細菌の形質転換を進める。この際、初年度に検討した宿主株の薬剤耐性をマーカーとした評価系を構築する。また、ゲノム組み込み型のプラスミドに関しては、薬剤耐性を賦与していると推定される遺伝子領域に別の遺伝子を導入し、薬剤存在下での生育の可否により遺伝子の欠損の有無を判断可能な系を構築する。上述の評価系を用いた取り組みにより、Kosmotoga属の安定な形質転換系の確立を試みる。
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Research Products
(1 results)