2020 Fiscal Year Annual Research Report
デザイン教育における身体感覚の探索を通じた感性開拓の研究
Project/Area Number |
20J00067
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三好 賢聖 慶應義塾大学, 環境情報学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 身体感覚 / デザイン / 感性開拓 |
Outline of Annual Research Achievements |
PD一年目の研究活動の一つとして、Swaying Clockのコンセプトを機械的な試作品として実装し物質化する際に、動きとその運動共感がどのような要素に影響を受けるか検証した。筐体は光造形3Dプリンタで製作し、時計ムーブメント部は360度サーボモータを用いた。アニメーションで考案した動きと、物理的に再現した動きの間には誤差があり、またアニメーションの平面性と機構の物質性という根本的な違いも存在する。故にアニメーションのときに追求した運動共感を物質的に再現するためには、アニメーションにおける動きのダイナミクスをそのまま転用するだけでなく、一つの異なる物体と動きとして改めて運動共感性を探索していかなくてはならないことが分かった。 上記の制作実験を通して研究と並行して、受入研究者である諏訪教授の研究室で行われる研究会に継続的に参加することにより、からだメタ認知やFNSサイクルなどの研究アプローチや概念を実践した。身体性の観点から社会システムや創造性について、具体的な課題を通じて実践的に考察した。一年目はこれらの研究アプローチの習得を主に行ったが、二年目以降はこれらを自身の研究において試行していきたい。 今年度は論文の形式での成果発表は行っていないが、スイスの建築・デザイン系出版社Birkhauserより単著の学術書を出版するに至った。「Designing Objects in Motion: Exploring Kinaesthetic Empathy」というタイトルで、内容としてはロイヤルカレッジオブアートにおける学位論文を再度編集し、一部新たな内容を書き下ろして執筆した。書籍は紙媒体と電子書籍のかたちで、バーゼル、ベルリン、ボストンなどの地域を中心に販売されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大による様々な規制により、ワークショップを主軸とした手法を前提としていた研究計画を大幅に変更する必要が生じた。申請時の提案では、ダンサーによる様々な身体動作のレッスンを経て、参加者であるデザイナーが様々な体勢や体感の探索と、その体感を反映する造形の試作を行うことを予定していた。しかし、一度目の緊急事態宣言後、対面での協働の安全性が不透明な時期が続いたため、なるべく申請者個人の実践活動の範囲で可能な実験や制作を優先して行った。また、配偶者の妊娠出産にあわせて研究中断期間をとったため、その分の研究の遅れも生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者個人の実践活動の範囲で可能な実験や制作を優先して行ったり、自身による制作実験やオンライン研究会への参加を経て得た学びを活かしたりすることで、来年度以降に遅れを取り戻すことを目指す。
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