2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J00101
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田内 大渡 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 実球多様体 / 無限次元表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gを実簡約代数群、Hをその閉代数部分群、QをGの放物型部分群とし、次の三条件を考える。(iQ)G/H上のG同変ベクトル束の切断の空間がQから誘導された任意の退化主系列表現に関して、重複度有限となる。(iiQ)G/H上にQ開軌道が存在する。(iiiQ)G/H上のQ軌道の個数が有限である。QがGの極小放物型部分群Pである場合これら三条件は全て同値となることが知られている。一般の放物型部分群Qに対してこれら三条件の関係性を問題として考える。この問題にたいしてまずQから誘導された退化主系列表現の構造を知るために次のようなことを考えた。 Harish-Chandraの部分商定理により任意のGの既約許容表現はGの主系列表現、すなわち、旗多様体G/P上のベクトル束の切断全体の空間の、部分商表現として実現できることが知られている。この定理を鑑みて、Gの極小とは限らない放物型部分群Qに対して、一般旗多様体G/Q上のベクトル束の切断全体の空間の、部分商表現として実現することができるGの既約許容表現をQシリーズに属する表現と呼ぶことにする。このときGの任意の既約許容表現は上述のHarish-Chandraの部分商定理によりPシリーズに属する表現となる。ところでCasselmanの部分表現定理により、任意のGの既約許容表現は主系列表現の部分表現として実現できることが知られている。これを鑑みて当該年度私は、このCasselmanの部分表現定理の類似が一般のQシリーズに属する表現に対して成り立つかどうかを考えた。すなわち、Qシリーズに属する G の任意の既約許容表現が、G/Q上のベクトル束の切断の空間の部分表現として実現できるか、という問題に取り組み、結果として一般には成立しないことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Gを実簡約代数群、Hをその代数部分群、QをGの放物型部分群とする。(iQ)「G/H上のG同変ベクトル束の切断の空間がQから誘導された任意の退化主系列表現に関して、重複度有限となる」と(iiiQ)「G/H上のQ軌道の個数が有限である」の関係性については決定できていないので、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究により、Qシリーズに属する表現と、G/Q上のG同変ベクトル束の部分表現として実現できる表現のクラスには差異があることがわかったので、今後はこの違いをより意識して3条件(iQ),(iiQ),(iiiQ)の関係性を研究していくことが必要であると考えている。特にどのような表現が部分表現として実現できるか決定することは、今後の方針の一つである。
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