2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analytic research on branching law of infinite-dimensional representations associated with symmetric R spaces
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20J00114
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中濱 良祐 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 実簡約リー群 / 表現論 / 正則離散系列表現 / 分岐則 / 対称性破れ作用素 / 多変数特殊関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
私はこの数年間で,リー群Gとその部分群G_1の組(G,G_1)が正則型対称対の場合に,Gの正則離散系列表現HからG_1の正則離散系列表現H_1へのG_1-絡作用素 (対称性破れ作用素) F:H→H_1を,Gが単純リー群,Hがスカラー型,H_1も (スカラー型を含む) 比較的簡単な表現の場合に,微分作用素として具体的に構成した.またその過程で,(G,G_1)の付随対称対 (G,G_2)に対し,エルミート対称空間G_2/K_2上の比較的簡単な多項式f(x_2)について,多項式det(x_2)^kf(x_2)とG/K上の指数関数e^(x|z)との,G/K上での内積を具体的に計算した.特にf(x_2)=1の場合 (H_1がスカラー型の場合に相当) には,この結果がHeckman-OpdamのBC型多変数超幾何多項式を用いて与えられることを示した. 昨年度までは主に(G,G_1,G_2)=(Sp(r,R),U(r',r''),Sp(r',R)×Sp(r'',R))など,G_2が2つの単純リー群の直積の場合について,今年度は主に(G,G_1,G_2)=(SU(r,r),SO^*(2r),Sp(r,R))など,G_2が単純リー群の場合について扱った. さらにこの内積を具体的に計算したことにより,正則離散系列表現H=H(λ)の連続パラメータλに関する解析接続を考えると,そのλに関する極の位置を具体的に決定できる.ここから,正則離散系列表現H(λ)を解析接続してできる表現が可約となる場合にも,これを部分群G_1に制限した際の分岐則に関する情報を得ることができた. またこの計算の結果,既知の多変数超幾何多項式,およびそれを自然に一般化した関数が現れたことから,この研究は多変数特殊関数論にも影響を与えると期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたランク一般のすべての正則型対称対(G,G_1)について,Gの表現HとG_1の表現H_1がともにスカラー型の場合にはすべての場合で対称性破れ作用素が構成でき,さらにH_1がもう少し一般の場合にも作用素が構成できた.さらにそこから作用素のパラメータ依存性,極の分布も具体的に決定でき,制限の分岐則に関する情報を取り出すことができた.これらの結果をまとめた論文は近いうちに投稿できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はG_1の表現H_1がさらに一般の表現の場合にも,対称性破れ作用素に関する具体的な情報を求める研究を行う.また,正則離散系列表現H=H(λ)を解析接続してできる表現について,パラメータλが十分正でなく,ユニタリ化可能でない場合には,対称性破れ作用素の一意性は明らかではないので,この一意性に関する研究を行う. さらに,これまで扱った正則離散系列表現にとどまらず,退化主系列表現や補系列表現についても,対称R空間上の関数空間として実現される場合に,同様の研究を行う.
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