2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theory as teaching tool: turn in architectural theory and education of postwar Italy
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20J00133
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松井 健太 千葉大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | アルド・ロッシ / 学生運動 / 自律性 / 建築理論 / 建築史 / 建築教育 / 戦後イタリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1960年代から1970年代のイタリアの建築理論を大学教育・研究との結びつきという観点から検討することで、建築家個人の思想という従来の建築理論の位置づけ・理解を刷新することを目的とするものである。 今年度は、(1)1968 年前後のイタリア建築学生運動と同時代の建築理論の関係の解明を大きなテーマとし、 より具体的な論点として、(2)同時期のイタリア建築家たちによる理論における〈自律性autonomy〉の概念を 建築教育という観点から考察することを課題として、研究を進めた。 (1)の観点から、今年度はアルド・ロッシとグイド・カネッラという2 人の戦後イタリア人建築家の理論を具体的な考察対象とし、二人の建築家のミラノ工科大学における教育活動との関係を検討した。 また(2)のテーマについては、アルド・ロッシ周辺グループの言説を手掛かりに考察を行い、自律性の概念が、 政治・経済・社会といったものからの建築形態の独立性というポストモダン的概念ではなく、1968 年という時代 の政治的風土を背景とした、建築という領域の自治性を意味していることを明らかにした。 当初の計画では、8 月にイタリアへ渡航して、ミラノ・トリノ・ヴェネツィアといった北イタリアの建築学校 で資料調査を行うとともに、関係者へのインタビューを敢行する予定であったが、COVID‐19 による海外渡航自粛・不可能となり、来年度以降へ延期することにした。次年度以降の研究には、今回延期となった調査で得られ た資料に依拠するものもあるため、次回の海外渡航調査の期間をできるかぎり増やすことで対応する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の世界的流行に伴って海外渡航を自粛せざるを得なかったため、手元にある資料で可能な範囲の研究にとどまり、進捗具合も当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、建築から都市へと次元を拡張しながら戦後イタリアにおける建築理論と建築教育の関係を検討していく段階へ入っていく。その際には、手元にある資料だけでは研究遂行が困難になることもあるが、今後もCOVID-19流行によって海外渡航は難しいままである状態も予想されるため、オンライン・デジタル・アーカイヴの活用や所蔵機関へのスキャンデータの提供の依頼なども検討していく。
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