2020 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の活性窒素ストレス応答・耐性化の分子機構の解明
Project/Area Number |
20J00169
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
門岡 千尋 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | Aspergillus nidulans / 一酸化窒素 / GAPDH / ストレス耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糸状菌の活性窒素ストレス応答・耐性化の分子機構の解明のために行った。モデル糸状菌Aspergillus nidulansにおいて、一酸化窒素(NO)曝露時の遺伝子発現変動についてRNA-Seqによって解析した結果、2313遺伝子の発現量が上昇し、1076遺伝子の発現量が低下することが明らかになった。これら発現上昇した遺伝子の中にA. nidulansのNO耐性に関与する遺伝子が存在すると推定し、解析を行った。 本年度はNOストレスによって発現量が上昇することを見出した推定グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をコードするgpdCについての解析を行った。まず、A. nidulansにおいてgpdCの遺伝子破壊株を構築し、NOストレス耐性を比較した結果、gpdC破壊株はNOストレスに対して感受性を示した。また、細胞内GAPDH活性を測定した結果、NOストレス条件下のgpdC破壊株の細胞内GAPDH活性は野生株の約10%に低下したことから、GpdCはNOストレス条件下の細胞内GAPDH活性の維持に重要な役割を持つことが示唆された。次に、GpdCおよび、A. nidulansの主要なGAPDHであるGpdAの組換え酵素を発現・精製し、酵素活性レベルでのNO耐性を比較した結果、GpdAの活性はNO濃度に依存して劇的に低下したのに対し、GpdCの活性はGpdAと比較して緩やかに低下したことから、GpdCはNO耐性をもつGAPDHであることが示唆された。さらに、GpdCが保存されていない出芽酵母においてGpdCを異種発現させ、NO耐性を比較した結果、NO耐性が向上したことから、GpdCの発現によるNO耐性化への寄与は極めて高いことが示唆された。以上の結果から、GpdCはNOストレス条件下での解糖系代謝の亢進を通して、糸状菌のNO耐性に関与することが示唆された。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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