2020 Fiscal Year Annual Research Report
ドパミンニューロンが骨格筋の糖代謝に及ぼす調節作用に関する研究
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20J00258
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
上原(寺島) 優子 生理学研究所, 生体機能調節研究領域 生殖・内分泌系発達機構研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ドパミン / アミノ酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、① 放射性同位体を用いた実験動物の栄養素代謝物測定方法の確立および、② 脳の特定部位 (VMH, SNc, VTA)をターゲットとした脳定位手術の技術を習得した。 ① 放射性安定同位体を用いた実験動物の栄養代謝物測定方法の確立 Dopamine transporter(DAT)-Cre マウス用い、L-フェニルアラニンを腹腔内注射後の肝臓、骨格筋および血漿中のL-フェニルアラニン濃度を測定した。1. 末梢組織および血漿中のL-フェニルアラニン濃度の測定方法の確立 DAT-Creマウス(9週齢, 雄)に、3時間の絶食後、0.3M L-フェニルアラニン (15μmol/0.15ml HEPES buffer/mouse)を腹腔内注射し、固定器を使用して固定した後、L-フェニルアラニン注射前および、注射後15, 30, 45, 60, 120, 180分に尾静脈採血を実施し、血漿を得た。血漿は、L-フェニルアラニン濃度の測定のため、脱タンパク質処理を行い、Phenylalanine Fluorometric Assay kit(Sigma-Aldrich) を用いて測定した。末梢組織(肝臓、骨格筋)中のフェニルアラニン濃度の測定は、DAT-CreマウスにL-フェニルアラニンを腹腔内注射後、20分に安楽死させ、肝臓および骨格筋を採取した。採取した組織に、陰イオン性除タンパク質溶液を用いた方法および、加水分解法を用いてアミノ酸を抽出した。得られたアミノ酸は、1の方法と同様に、L-フェニルアラニン濃度を測定した。 ② 脳定位手術の技術を習得と精度の向上 本実験においては、パーキンソン病の発症に関わる中脳黒質緻密部(SNc)、腹側被蓋野(VTA)及び、運動とは独立して糖代謝調節機能を持つ視床下部腹内側核 (VMH)にDREADD法 (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)を用いて特定の神経細胞におけるシグナリングを操作する必要がある。実際に、マウスの脳のVTA, SNcおよびVTAに蛍光色素(m cherry, FITC)をインジェクションし、成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋、肝臓、血漿中のL-フェニルアラニンを抽出し、濃度の測定方法を確立することに時間を費やした。本実験は、放射性同位体L-フェニルアラニンを使用するため、測定に最適な組織重量の決定、組織から正確にL-フェニルアラニンを抽出するための方法の確立する必要があった。現在は、その測定系を確立することができており、マウスにL-フェニルアラニンを腹腔内注射し、測定可能であることを確認した。 現在は、実際に放射性同位体L-フェニルアラニンをマウスの腹腔内に注射し、その濃度の測定に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物の骨格筋、肝臓、血漿中の栄養素代謝物を抽出し、正確に測定できる方法を模索し、現在はその実験系を確立することができている。 今年度は、本研究の根幹である実験Iの本実験を実施しデータを収集する。このマウスの脳内SNcおよびVTAドパミンニューロンをDREADD法によって直接活性化または抑制した状態を作成したのち、放射性同位体をラベルしたグルコースまたはアミノ酸を用いて、骨格筋タンパク質への栄養素取込みに及ぼす効果を調べる。さらに、その作用に交感神経のβ作用が関与することを明らかにする。
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