2021 Fiscal Year Annual Research Report
天体衝撃波における高強度コヒーレント放射についての数値的研究
Project/Area Number |
20J00280
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩本 昌倫 九州大学, 総合理工学研究院, 特別研究員(PD) (00888810)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 無衝突衝撃波 / プラズマ不安定 / 粒子加速 / 高エネルギー天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、天体衝撃波からの高強度コヒーレント放射をプラズマ素過程に基づき解明することである。そのために無衝突プラズマの第一原理計算手法であるParticle-in-Cell法を駆使して天体衝撃波の環境を再現し、高強度コヒーレント放射を引き起こすシンクロトロンメーザー不安定及び高強度コヒーレント放射とプラズマとの非線形相互作用を調べている。この数値計算は膨大な数の粒子全てに対して運動方程式を解くため計算コストが極めて高くスーパーコンピュータの利用が不可欠だが、本研究は2021年度のHPCI若手課題として採択され、名古屋大学の「不老」を利用できたため、十分な計算資源を確保することができていた。今年度の研究成果は国際学会で招待講演をはじめ、様々な学会での発表しており、でさらには査読付き国際学術誌The Astrophysical Journalから出版されている。本年度はさらに「富岳」成果創出加速プログラム、「宇宙の構造形成と進化から惑星表層環境変動までの統一的描像の構築」に参加して富岳を利用することができた。世界一のスーパーコンピュータである富岳を利用することで、世界で初のイオン・電子系での3次元相対論的衝撃波計算を行うことができた。現在論文化に向けてこの数値計算の解析を行っている段階である。 また、今年度は9月からコロンビア大学のLorenzo Sironi助教のもとに長期滞在して、国際的な共同研究を行っている。Lorenzo Sironi氏は大規模数値計算・最先端の観測の両方にたいして高度な専門性をもっており、本研究で行っている数値計算に対して助言をもらうだけでなく、最新の観測結果への応用も議論している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた大規模計算は大半が実施でき、すでに論文化もできている。さらには今年度は富岳を利用できたため、当初の計画よりもさらに大規模な計算を実施することができ、世界初のイオン・電子系での3次元相対論的衝撃波計算まで行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度のHPCI若手課題にはすでに採択されており、今年度も十分な計算資源を確保できている。さらには富岳も引き続き利用できることとなったため、世界に先駆けてイオン・電子系での3次元相対論的衝撃波の詳細な物理を調べ、論文化する。また、コロンビア大学のLorenzo Sironi助教のもとに引き続き長期滞在しており、本研究の国際的な発展も見込まれる。
|
Research Products
(9 results)