2021 Fiscal Year Annual Research Report
Imami Recognition of Other Sects: The Development of Imami Recognition to Therir Modern Religious Thought
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20J00302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平野 貴大 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | イマーム派 / 十二イマーム派 / インドネシア / シーア派 / イスラーム神学 / イスラーム法学 / IJABI |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、および繰越後の研究は(1)資料の収集と海外学者との意見交換、(2)前年度までの研究成果の発表、(3)今年度の取り組み成果の発表である。 (1)インドネシア渡航はコロナ禍ゆえに2021年度中の実施を断念し、繰越しての2022年12月に実施した。同国ではまず首都ジャカルタにおいてシーア派文献の収集、および、学者らへの聞き込み・意見交換を行った。シーア派文献の出版、翻訳などに最も精力的なICC(イスラーム文化センター)を尋ね、本研究に重要な資料を得た。また、地方都市バンドゥンではインドネシアの最初のシーア派組織であるIJABIを訪問し、その議長にインタビューし同国シーア派に関する資料を受け取った。 (2)PD採用前から取り組んでいた日本のイスラーム史とイスラーム研究の課題を扱ったアラビア語での論文を完成させた。また、上記のインドネシア渡航の準備のために、同国のシーア派研究とシーア派文献出版の状況をまとめて「研究動向・研究レビュー」として発表した。 (3)今年度は主として11世紀の合理主義者たちの神学書、および、法学書の読み込みを進めた。その結果、10世紀の伝承主義者たちの用いる伝承の曖昧な記述が体系化されていったことが確かめられた。自派は救済される「信仰者」、イスラームの他派は「反対者」か「敵対者」にわけられ、後者は「不信仰者」と見なされる、という図式は10世紀の伝承主義から11世紀の合理主義へのそのまま継承されたが、合理主義者たちの間ではより体系的な説明がなされるようになったことがわかった。今年度には単著と共著の両方の執筆に取り組むことになり、今年度の成果はそこに入れるべく準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度内にインドネシア渡航ができなかったことは大きな問題であったが、繰越後の調査では想定していたより多くの関連資料を収集することができ、ジャカルタとバンドゥンにおいてシーア派有力者と意見交換こともできたため、渡航調査は想定以上の成果をもたらしたと考える。11世紀の合理主義者の文献の多くはインターネットを通じて購入することができたため、主となる文献研究は順調に進めることができた。この点でおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で計画の変更が余儀なくされたものも多かったが、今後は欧米研究者ではなく現代のシーア派学者たちが主観的に執筆した文献・研究所の調達に急ぎたい。その調達を通じて、より客観的な視点からシーア派の自他認識を解明できる。
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