2022 Fiscal Year Annual Research Report
強重力場における高エネルギー現象の解明とその観測可能性
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20J00416
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小笠原 康太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 一般相対性理論 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年にM87中心のブラックホール候補天体がつくるシャドウが初観測された.この天体は高速回転している可能性が指摘されており,本研究対象である強重力場を作る回転ブラックホールが有力候補である.中心天体がブラックホールであるか否かを決定するためには,ブラックホールを特徴付ける事象の地平面近傍からの情報を得られる観測可能量を見いださなければならない.そこで本研究では,先述のブラックホールシャドウに関連する,事象の地平面近傍からの脱出確率に関する考察を進めている. 今年度は,研究計画「衝突Penrose過程とその応用,観測可能性」をさらに発展させ,特にブラックホールのごく近傍の観測可能性に関する研究を行った.ブラックホール近傍の特徴をより深く解析するために,私が以前開発した光の脱出確率の定式化に対して,near-horizon geometryとよばれる地平面近傍の高い対象性を反映した解析手法を応用し,ブラックホールのごく近傍からの脱出確率を評価した.その結果,高速回転しているブラックホールの近傍では,地平面からの固有距離に応じて光の脱出確率が減少するが,光源が地平面到達直前までは有限の脱出確率を示すことが解析的に明らかになった. ブラックホールからのエネルギー引き抜き過程の反作用効果の定式化に向けて,電荷を持つ球対称ブラックホールまわりのスカラー場の波動方程式の解析およびエネルギー運動量テンソルの構築に関する研究も行った.スカラー場の波動方程式に対して,地平面近傍の解と無限遠方の解をある仮定のもとで適切に接続する手法により,時空全体で適応可能なエネルギー運動量テンソルを構築した.これを用いてエネルギーが引き抜かれるブラックホールの質量と電荷の時間変化を定式化する研究に発展させる予定である.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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