2021 Fiscal Year Annual Research Report
高次生命現象に関わるタンパク質を解析できる単一細胞特異的プロテオーム解析法の開発
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20J00905
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
油屋 駿介 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | Caenorhabditis elegans / プロテオミクス / Cell-selective BONCAT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では線虫の単一神経細胞をアジド基で特異的に標識し、標識した細胞のタンパク質を50~100匹の線虫から回収することで、少数の線虫から目的神経細胞特異的なプロテオミクス解析を行うことを目的とする。 本年度は(1) 単一神経細胞に変異型フェニルアラニルtRNA転移酵素 (変異RS)を発現させるためのベクターの最適化 (2) 遺伝子回路を用いた単一神経細胞における変異RSの発現 (3) アルキンシリカゲルの作製の3点を主に行った。 (1) 単一神経細胞に変異RSを発現させるためのベクターの最適化:従来のベクターでは変異RSを発現させる際に非特異発現が多くみられた。本年度はベクターの3’UTRを検討することで、従来と比べてほぼ非特異発現が見られないベクターを構築した。検討したベクターを用いて、10個の神経細胞に単一神経細胞特異的に変異RSを発現する株を構築した。 (2) 遺伝子回路を用いた単一神経細胞における変異RSの発現:従来のベクターを用いると、2つのプロモーターを組み合わせなければ単一の神経細胞に変異RSを発現することができない場合に対応できない。そこでsplit cGALシステム (et al PNAS) を用いて、二つのプロモーターが共通で機能する細胞のみに変異RSを発現できるシステムを構築した。 (3) アルキンシリカゲルの作製:高純度シリカゲルとアルキン-NHSを反応させることで、新しいアジド化タンパク質の回収担体を構築した。作成した担体とアジド標識タンパク質・非標識タンパク質の混合物を反応させ、トリプシン消化を行い溶出したトリプシン消化物を分析した。従来法と比較したところ、低いバックグラウンドでアジド標識タンパク質の回収が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異RS発現株の構築は予定以上に進んでおり、予定した細胞以外に変異RSを発現する株も構築済みである。一方で、本年度実施予定であった微量アジド化タンパク質回収法の構築はマシンタイムの都合上行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アルキン標識担体のキャピラリー中への充填、キャピラリー内でのサンプル調製法の最適化を行う。開発した担体とキャピラリー内でのサンプル調製法を組み合わせて、単一神経細胞に変異RSを発現する線虫株からプロテオミクス解析を行う。
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