2020 Fiscal Year Annual Research Report
高移動度半導体薄膜の低温プロセス技術に基づく超高速フレキシブルCMOSの開発
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20J01059
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
茂藤 健太 九州大学, グローバルイノベーションセンター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ゲルマニウムスズ / 薄膜トランジスタ / 固相成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキタス情報社会のさらなる高度化には、時・場所を選ばすに情報のやりとりが瞬時に行えるような、ウェアラブルで高性能な情報端末の開発が必要となる。本研究では高移動度半導体であるGeおよびGeSnに着眼し、高速演算機能を有するプラスチック上CMOSデバイスを開発する。本年度は、p型GeSn薄膜の正孔密度低減、GeSn薄膜へのn型ドーピング、GeSn薄膜トランジスタの作製プロセスを検討した。 プラスチック上GeSn薄膜は、欠陥から誘起されるアクセプタに起因して1017 cm-3オーダーの高い正孔密度を有する。一般に、合成薄膜の結晶性は、結晶核の発生サイトとなる基板(下地)の種類に依存する。まずはガラス基板上にSiO2、SiN、Al2O3、GeOx下地層を形成した後、Ge薄膜の堆積および固相成長を行った。その結果、GeOx下地層においてGe薄膜の大粒径化が確認された。本手法をGeSn薄膜に展開したところ、GeO2下地層による大粒径化の効果に加え、Sn添加による大粒径化の効果が重畳され、20 μmを超える結晶粒径が得られた。これを反映し、多結晶Ge系薄膜として最低レベルとなる正孔密度 7×1016 cm-3を達成した。 n型GeSn薄膜の形成に向け、Ge薄膜堆積時にn型ドーパント(Sb, As)を同時に添加し、固相成長を誘起する手法を検討した。その結果、n型ドーパントとしてSbを用いた場合には5×1017 cm-3、Asを用いた場合には6×1018 cm-3の電子密度を有するn型薄膜が得られた。今後は、本手法を(1)で確立した低正孔密度GeSnに適用することでn型GeSn薄膜を形成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、p型Ge(Sn)薄膜の正孔密度低減およびn型化を行うことを予定していた。今回、GeOx下地層を挿入することで正孔密度を低減し、Geをn型ドーパントと同時に堆積後、固相成長を誘起することでn型化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにp型Ge(Sn)薄膜の正孔密度低減およびn型化に成功した。そこで今後は、p型・n型Ge(Sn)薄膜をベースとした反転層型トランジスタの実現に向け、ショットキーソース/ドレイン接合形成技術の構築に取り組む。
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