2021 Fiscal Year Annual Research Report
固体微粒子集合体の動力学を扱う連続体的計算法の開発と始原的小天体衝突素過程の解明
Project/Area Number |
20J01165
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉浦 圭祐 東京工業大学, 地球生命研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 小惑星衝突 / 数値シミュレーション / リュウグウのS型ボルダー / 大規模破壊による衝突体の混合 / メソシデライト隕石 / 小惑星ベスタへの巨大衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
「固体微粒子集合体の動力学を扱う連続体的計算法の開発と始原的小天体衝突素過程の解明」という研究課題名のもと, 始原的小天体の直接的な生き残りであると考えられている小惑星同士の衝突現象の研究を進めている. 小惑星の多くは瓦礫の集まりであるラブルパイル天体, つまり固体微粒子集合体であると考えられているため, 固体微粒子集合体の振る舞いとして重要な摩擦の効果を考慮した計算コードを用いて小惑星衝突の数値シミュレーションを実施している.
そのような研究課題として2つの研究を推進している. 1つは小惑星ベスタ由来であると考えられている石鉄隕石メソシデライトが小惑星ベスタへの巨大衝突で形成されたとする仮説を検証する研究である. 巨大衝突の数値シミュレーションの結果, ベスタの地殻が分厚く金属コアが大きい場合, 現在のベスタの状態を説明しつつメソシデライト隕石の形成が可能であることがわかった. この研究成果の論文はIcarus誌にて出版済みである.
2つ目は小惑星リュウグウの表面に見つかっているスペクトル型が異なる岩塊がリュウグウ母天体への衝突体の破片が混入したものであるとする仮説を検証するため, リュウグウ母天体への小惑星衝突による大規模破壊の高解像度数値計算によって衝突体の混入量を調べる研究である. 様々な大規模衝突破壊の数値シミュレーションの結果, もしリュウグウ表面のスペクトル型が異なる岩塊がリュウグウ出身族と考えられているオイラリア族もしくはポラナ族形成の際に混入したとするならば, その際の衝突は50-60度程度の高角度衝突でなければいけないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた数値計算法の開発は進展していないものの, 関連する研究課題を2つ推進している. そのため当初の予定とは異なる進捗状況になっているが, 惑星科学分野の幅広い研究課題を進行しており, 本研究課題にも間接的に貢献していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在主に推進しているのは小惑星リュウグウ表面に存在する異なるスペクトル型を持つ岩塊の起源の研究である. この岩塊がリュウグウ出身族であると考えられているオイラリア族もしくはポラナ族形成時に混ざったとするならば, その衝突角度は50-60度程度の高角度でないといけないことまでは定性的に理解することができた. しかし, いまだ定量的な理解及び定量的なモデル化までは到達していない. 今後は計算結果をさらに詳細に解析し, 衝突体混入量の定量的モデル化を目指す. また今年度中に論文化し投稿することを目指す.
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