2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of quantum walks on digraphs and structure determination of digraphs by eigenvalues
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20J01175
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
久保田 匠 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / 周期性 / 代数的グラフ理論 / スペクトルグラフ理論 / 代数的整数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は多くの研究業績を残すことができた。量子ウォークの周期性を研究するにあたり、代数的整数論が有用であることが分かったことが大きい。代数的整数論の基礎的な知識を補填し、スペクトルグラフ理論の基本的な事実と組み合わせることで「正則グラフ上の量子ウォークが周期的であるためのきわめてシンプルな必要条件」を導出できた。例えば、n頂点のk正則グラフ上の Grover walk が周期的になるならば 2n/k が整数でなければならない。これにより「固有値を求めれば周期性が判定できる」から「固有値を計算せずとも、グラフの幾何的な情報を見ればある程度周期性が判定できる」ようになった。更に、当該年度は周期性だけでなく、離散時間量子ウォークの完全状態遷移についても研究成果を挙げることができた。完全状態遷移が起こるための、グラフの固有値に関する必要条件を導出した。この条件をよく観察すると、ここでも代数的整数論が利用できる状況であることが分かった。当該年度はその他にも、相異なる固有値が高々5つの正則グラフの周期性で成果を挙げることにも成功した。いくつかの共同研究でも自分の知見を貢献することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画を立てていた頃にはあまり詳しくなかった代数的整数論が量子ウォークの周期性を研究するにあたり有用であることが分かったことが大きい。代数的整数論の基礎的な知識を補填し、スペクトルグラフ理論の基本的な事実と組み合わせることで多くの研究業績を残すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も代数的整数論や代数学を用いた量子ウォークの研究を進める。特に、スペクトルグラフ理論や代数的グラフ理論の道具を使いつつ研究を進める。いくつか既に研究成果が出始めている。
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