2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J01255
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大内 彩子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 海馬 / 歯状回 / 苔状細胞 / 鋭波リップル / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitroおよびin vivo標本におけるパッチクランプ記録のデータを利用し、苔状細胞の膜電位と鋭波リップルを関連付けて学習する機械学習手法を開発し、苔状細胞の膜電位応答の波形を入力すると、対応する鋭波リップルの波形が人工知能により予測・出力されるシステムを構築した。その結果、苔状細胞の膜電位の情報から鋭波リップルの情報を再現することに成功し、さらに苔状細胞の数が多いほどその再現精度が向上したことから、鋭波リップルの情報が損失されることなく苔状細胞層に圧縮されることを明らかにした。 鋭波リップルには多様性があり、個々の波形は別々の細胞集団が同時に活動することによって生じる。そこで、特定の苔状細胞が特定の鋭波リップルの波形予測に重要であるかを調べたところ、苔状細胞による予測精度は鋭波リップルの波形によって異なることを明らかにした。 次に、苔状細胞が鋭波リップルをどのように予測したのかを調べたところ、同時に記録した苔状細胞の神経活動は直交し、それぞれ独立して鋭波リップルの予測に関わることを明らかにした。 以上より、本研究では鋭波リップルの情報が苔状細胞層に圧縮され、同時に記録した苔状細胞の神経活動は直交することを明らかにした。
並行して、苔状細胞の神経活動を鋭波リップルのタイミング特異的に阻害するため、アデノ随伴ウイルスベクターを利用し、苔状細胞にArchを発現させる実験を行っている。現在は適切な投与量と記録開始までの期間を検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はこれまでに得られたパッチクランプ記録のデータを解析し論文にまとめた。本研究は優れた研究成果として高く評価され、FENS Forum 2022 Travel Awardを受賞した。また、並行して、シリコンプローブ電極の慢性留置の手術を習得した。
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Strategy for Future Research Activity |
苔状細胞にArchを導入するためのアデノ随伴ウイルスベクターの投与量・期間の検討を行った後、歯状回にシリコンプローブ電極を埋め込む実験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)