2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the late stege planetary formation by high-resolution numerical simulation of the giant impact
Project/Area Number |
20J01258
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒崎 健二 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 惑星大気 / 天体衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では惑星形成後期過程において発生することが期待される巨大衝突現象の数値シミュレーションを行った.原始惑星系円盤の中で形成する原始惑星は天体自身の重力により必然的に周囲の円盤から大気を獲得することが見込まれる.したがって,惑星形成後期過程においては,大気を持った天体同士が衝突合体を繰り返すというプロセスを経て,現在観測される惑星系が完成する.本研究計画では,原始惑星系円盤内で形成した大気を持つ惑星が衝突合体を経ることで,惑星大気がどのような変化をたどるかを議論するものである.当該年度では,様々な質量・大気量を持つ天体を用意し,それらが衝突合体を起こす様子を粒子法を用いた数値流体シミュレーションを行った.大規模な衝突合体に伴って,天体が持つ大気の大部分が失われ,大気をほとんど持たない岩石天体が形成する可能性が高いことを示し,さらに衝突によって失われる大気量にも,衝突エネルギーに比例した一定の法則があることがわかった.当該年度では,まず天体同士の正面衝突に限定して議論を構築し,衝突に伴うエネルギー分配を理解することが,天体衝突現象の理解に重要であることを示した.さらに天体衝突現象に伴う大気流出量の影響から,惑星形成理論への制約をつなげることを示唆できた.すなわち,大気を多く持った惑星は原始惑星系円盤内で形成し,その後に巨大衝突を経験せずに形成しなければならないということである.このような発見は今後惑星形成理論を組み立てる上で本質的となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では天体衝突を計算するための初期条件作成とパラメータスタディを完了させることである,巨大衝突を計算するための粒子法を用いた数値流体シミュレーションコードはすでに完成しており,国立天文台天文シミュレーションプロジェクトが運用するCray XC50を用いて数値実験の結果が出そろった.本年度ではさらに数値計算結果から得られる知見を国際・国内学会にて発表も行っており,論文の執筆も開始できた.初年度で行うべきことはおおむね達成できていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度では,天体衝突現象の数値シミュレーションを行い,その計算結果を得た.当該年度では,衝突エネルギーや天体質量によって大気の流出量に一定の相関があることを確認できたものの,任意の衝突に対する一般的な理解や,衝突に伴うエネルギー分配まではまだ未解明のままになっている.次年度以降は,衝突に伴うエネルギー分配を詳細に解析し,天体衝突にともなう大気流出量と大気組成の変化を調べたいと考えている.これは,惑星形成と現在観測される惑星系の間の進化過程の謎を解く重要な手がかりになる.
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Research Products
(9 results)