2020 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌 SSPs と栄養基質分解酵素の新奇相互作用モデルの構築への挑戦
Project/Area Number |
20J01300
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺内 裕貴 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 低分子量分泌タンパク質(SSPs) / 栄養基質分解酵素 / 植物病原糸状菌 / 木材腐朽菌 / SSPs-酵素間相互作用 / セクレトーム解析 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【学会発表】 糸状菌分子生物学研究会若手の会第8回ワークショップ、「麹菌 Aspergillus oryzae における Xylan 特異的な SSPs の同定」、ポスター発表、2020年11月 日本農芸化学会2021年度仙台大会、「麹菌および植物病原糸状菌における各炭素源特異的な SSPs の同定」、口頭発表、2021年3月
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A. oryzae をGlucose, Avicel(結晶性Cellulose)、Xylan, 木粉(ブナ由来)をそれぞれ単一炭素源として培養した結果、Xylanにおいて良好な生育を示した。分泌タンパク質をSDS-PAGEで解析した結果、Xylan特異的なタンパク質を分泌していた。それらをLC-MS解析に供した結果、Hydrophobin RolA, HypB を含むSSPsと考えられるタンパク質が同定された。これらの発現量を解析した結果、HypBの発現が顕著に上昇していた。 Bipolaris maydisをGlucose, Avicel、polybutylene-succinate-co-adipate (PBSA, 生分解性プラスチックの一種)、 木粉(ブナ由来)をそれぞれ単一炭素源として培養した結果、Avicelにおいて良好な生育を示した。分泌タンパク質をSDS-PAGEで解析した結果、Avicel特異的なタンパク質を分泌していた。それらをLC-MS解析に供したが、SSPsと考えられるタンパク質の同定には至らなかった。 Botrytis cinerea (灰色カビ病菌)をα化米, Avicel、PBSA, 木粉(ブナ由来)をそれぞれ単一炭素源として培養した結果、木粉において良好な生育を示した。分泌タンパク質をSDS-PAGEで解析した結果、Avicel特異的なタンパク質を分泌していた。それらをLC-MS解析に供した結果、SSPsと考えられるタンパク質が同定された。 Pleurotus ostreatus(ヒラタケ)をα化米、木粉(ブナ由来)をそれぞれ単一炭素源として培養した結果、木粉において良好な生育を示した。分泌タンパク質をSDS-PAGEで解析した結果、木粉特異的なタンパク質を分泌していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
A. oryzae については、SSPsと考えられるタンパク質の破壊株を造成し、表現型の解析を進める。また、SSPsやXylanase生産株も造成し、それらのタンパク質の精製も並行して進めていく予定である。 B. maydis については、まだLC-MS解析に供していない分泌タンパク質を解析する予定である。また、基質に吸着して剥がれていないタンパク質を高濃度のNaClやSDSで剥がして、SDS-PAGEに供し、SSPsの探索を続ける予定である。 B. cinerea については、同定されたタンパク質の発現解析を進めつつ、平衡して破壊株や生産株の造成、他のタンパク質のLC-MS解析を行っていく。 P. ostreatus については、分泌タンパク質をLC-MS解析に供し、SSPsの探索を進める。また、他の炭素源についても分泌タンパク質の解析を進める。 また、他の植物病原糸状菌や木材腐朽菌などについてもこれまでと同様の解析を進めていく予定である。
|
Research Products
(2 results)