2020 Fiscal Year Annual Research Report
脈管・周辺軟組織を対象とした超高速超音波組織性状診断システムの開発
Project/Area Number |
20J01391
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大村 眞朗 富山大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 高速超音波撮像 / 粒子画像流速計 / 音響特性 / 血液模擬溶液 / 静脈 / 赤血球 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速撮像下における体表近傍の脈管および周辺軟組織の機能および質的評価を可能とする信号解析技術の開発を目指し,今年度では超音波信号計測および解析法に関わる2件の研究事項を推進した. 1.脈管および周辺軟組織の形態・音響物性を考慮した生体模擬ファントムの開発と評価 信号解析技術の開発に向けた実験的検討として,多様な形態や質をもつ生体模擬ファントムでの評価が必要である.数 mm径の脈管および周辺軟組織を模した流路ファントムおよび血液模擬溶液を自作し,音波伝搬に関わる基礎的な音響物性(音速・減衰・後方散乱係数など)を解析した.一般的な生体組織の物性値や文献値と比較し,現実的な物性を得られる作成プロトコルの見通しを得た. 2.光学撮像系と超音波信号の同時計測システムの構築 これまでに,受入研究室の先行研究において超音波送受信の高速化により血管壁の運動や低S/Nな血液信号の機能情報を可視化できている.これらの解析結果の裏付けの一手法として,光学撮像系により対象物の動きを直接的に観察する方策が挙げられる.本年度では,血液模擬溶液中の5~40 um粒子を対象として,グリーンレーザ光を用いた粒子画像流速計による粒子分布の可視化を行い,これまでに開発してきた超音波撮像系と同期させることで,内腔の約20 mm四方の平面において数1,000 fps超の光学・超音波撮像を可能とするシステムを新たに構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系および数値計算による基礎検討に加え,探索的臨床試験として,富山大学附属病院にてヒト頸静脈のデータ収集を行い,超音波信号解析による微小血栓の非侵襲検出に向けた実現可能性を調査することができている. さらに,受入研究室における新たな研究の展開として,これまでに得た生体組織の温度変化と超音波エコー信号の統計的性質の違いの関係性の原理解明にも取り組んだ.申請者によって数理的検証および実験的検討を進め,超音波散乱波の統計的解析により散乱体密度の変化を捉えられることを検証した.これらの成果は,学術論文として採択が決定しており,また,流れが存在する状況下における組織性状診断技術の開発においても有益な知見である.
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Strategy for Future Research Activity |
実験的検討において,流れ場中の粒子径が異なる血液模擬溶液の高速超音波撮像を行い,臨床例として求められる微小血栓の検出アルゴリズムの開発を検討するとともに,粒子画像流速計による検証を図る. 実計測信号から解析した流れや硬さの精度検証および多様な物性や状態を再現するために,受入研究室では数値計算シミュレーションのノウハウを多く有している.今後,流れ場などの状態における数値計算手法のノウハウも吸収し,多様な物性を有し様々な状態にある時・空間の超音波エコー信号を解析する.
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Research Products
(12 results)