2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20J01468
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
度会 晃行 東京大学, 定量生命科学研究所, 特別研究員(PD)
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| Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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| Keywords | 社会記憶 / 性行動 / 超音波発声 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類は種により一夫一妻、一夫多妻、乱婚など異なる婚姻様式をとる一方で、おおくのオスは交尾相手を記憶することでそうでないメスを区別し、それぞれに対して性行動の形式や量を調節する。オスマウスは性行動のひとつとしてメスに対して超音波発声を示すが、新奇なメスと既知のメスそれぞれに対する発声を観察したところ、新規なメスに比べ既知のメスに対してより少なく行われることが明らかになった。そのような記憶に依存した超音波発声の減少は、数分で記憶したのちに短いインターバルを挟んでメスと再会する短時間記憶課題と2時間で記憶したのちに長いインターバルを挟んで再会する長時間記憶課題の両者において観測された。そこで、側坐核(NAc)におけるCaMK2陽性細胞(NAc-CaMK2)、Drd1陽性細胞(NAc-Drd1)、およびDrd2陽性細胞(NAc-Drd2)を光抑制するとともに、メスを用いた短時間または長期時間記憶課題を行なった。なお、光抑制はNAcに感染させたアデノ随伴ウイルス(AAV)により各細胞集団に光感受性タンパクeArchTを発現させることで可能にした。NAc-CaMK2の光抑制をした際には短時間および長時間記憶課題のいずれにおいても影響が見られなかったが、NAc-Drd1およびNAc-Drd2を光抑制した際には長時間記憶課題でのみ記憶に依存した超音波発声の減少が障害された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類は種により一夫一妻、一夫多妻、乱婚など異なる婚姻様式をとる一方で、おおくのオスは交尾相手を記憶することでそうでないメスを区別し、それぞれに対して性行動の形式や量を調節する。前年度の研究成果より、オスマウスは性行動のひとつとしてメスに対して超音波発声を示すが、新規なメスに比べ既知のメスに対してより少なく行われることが明らかになった。そのような記憶に依存した超音波発声の減少は、数分で記憶したのちに短いインターバルを挟んでメスと再会する短時間記憶課題と2時間で記憶したのちに長いインターバルを挟んで再会する長時間記憶課題の両者において観測された。本研究課題では、このようなオスマウスのメスに関する記憶による性行動の調節がどのような神経基盤により下支えられているのか明らかにすることを試みる。
前年度、側坐核(NAc)におけるCaMK2陽性細胞(NAc-CaMK2)、Drd1陽性細胞(NAc-Drd1)、およびDrd2陽性細胞(NAc-Drd2)の活性を抑制するとともに、メスを用いた短時間または長期時間記憶課題を行なった。NAc-CaMK2の抑制をした際には短時間および長時間記憶課題のいずれにおいても影響が見られなかったが、NAc-Drd1およびNAc-Drd2を抑制した際には長時間記憶課題でのみ記憶に依存した超音波発声の減少が障害された。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度では、その長時間記憶課題においてNAc-CaMK2、NAc-Drd1およびNAc-Drd2、それらの細胞集団が記憶を形成しているメスと形成していないメスそれぞれに対して、どのような神経活動を示すのか観察することを予定している。神経活動の観察にはファイバーフォトメトリーを用いる。本技術はアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて、細胞内のカルシウム濃度に依存して蛍光強度を変化させるカルシウムセンサーを標的となる細胞集団に発現させ、センサーより発される蛍光量を計測することで神経活動の観察を可能にする。また先行研究により、腹側海馬CA1領域(vCA1)は社会記憶の保存領域であり、vCA1が既知個体に対する接近の減弱に寄与することが示されている。そこで、本課題において観察された記憶依存的な性行動の調節にもvCA1が寄与しているのではないかと考えられた。そこで、vCA1の神経活動を抑制しながら時間および長時間記憶課題を行い、記憶依存的な性行動の調節への影響を調査する。神経活動の抑制は、光照射により神経活動の抑制を可能にする光感受性タンパクeArchTを発現させるAAVをvCA1へ感染させることにより実現する。
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