2020 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative measuring of motor and social skills and social implementation of early development support program for children with autism spectrum disorder
Project/Area Number |
20J01493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 悟 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 早期発達支援 / 自閉スペクトラム症 / 距離感 / アイトラッカー |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症児は社会的相互作用に困難があり、運動の不器用さを示すことが多い。運動の不器用さによって他児とかかわる機会が減少し、そのために社会的相互作用が発達しにくい。社会的相互作用の獲得を支援するためには、運動中に自閉症児の行動を計測し、その行動データをもとにフィードバックを与える必要がある。しかし、鬼ごっこなど他者とかかわりをもつ運動遊びをしている間は、自閉症児の身体は大きく動き、ヒューマンコーディングなどの手法では精度とコストの面で問題がある。本研究は、装着型アイトラッカーによる視線・距離の計測とモーションキャプチャシステムによる距離を計測し、運動遊び支援における発達支援プログラム開発を行うことを目的とした。 本年度は、1人称視点である装着型アイトラッカーから自閉症児の距離感を計測する実験を行った。二者の実験参加者が向かい合った状態で互いに近づき、近すぎて不快に感じた時に手を挙げてもらう、ストップ・ディスタンス法で計測した。結果、一人称視点カメラに映った相手の実験参加者の面積の増加と、接近した距離の関連を示した。本結果は、実験参加者の視点からの視覚的な情報が他者との距離調節に関連する可能性を示している。今後は、水平方向のみの分析だけでなく、上下方向の分析や角度との関連も明らかにし、立位・座位それぞれの状態における他者との社会的相互作用の仕方や感じ方を明らかにすることが可能であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画のうち、アイトラッカーおよびモーションキャプチャによる計測手法まで確立した。注視行動・接近行動の計測が可能になったことにより、今後、自閉症児の支援研究へ活用することが可能となる。特に、二者の連続的な距離と視線行動の変化を同時に計測し続けることによって、フロア上における子供の発達を定量的に示すことができるようになる。また、自閉症児・定型発達児で統一した指標を用いることができるようになるため、自閉症児-自閉症児間や定型発達児-定型発達児間だけでなく、自閉症児-定型発達児間の相互作用も分析することが可能になることが予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は, 運動支援プログラムの完成に向けて, 自閉症児及び定型発達児への評価方法を作成した。本年度は, 自閉症児・定型発達児にTobiiグラスとモーションキャプチャのマーカーを装着させ, 運動支援プログラムを実施する。今後は, 視線と運動の統合過程を明らかにするとともに, 三者以上の相互作用の分析を行う。児童間の相互作用だけでなく、大人と児童らの相互作用や発達年齢・生活年齢・障害の有無などに影響されず、幅広いプロフィールの実験参加者からデータを取得することができると予測される。
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