2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん微小環境下における細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷能規定因子の解明
Project/Area Number |
20J01623
|
Research Institution | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
Principal Investigator |
小西 義延 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 血液疾患研究部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 腫瘍微小環境 / 多発性骨髄腫 / 前がん病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に見出した、BRAFV600E変異を有するメラノーマ細胞においてカルシウムシグナルが活発に活性化しているという知見に基づき研究を展開させた。その結果、血管内皮増殖因子(VEGF)に依存した血管内皮細胞によるTXA2の産生ががん細胞由来のプロスタグランジンE2 (PGE2)産生の重要な制御因子であり、抗腫瘍免疫応答の抑制に極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。本研究により、初期腫瘍微小環境における宿主細胞とがん細胞との細胞間相互作用が、その後の抗腫瘍免疫応答を決定づける因子となることが示された。抗血栓薬の有する抗腫瘍効果の分子基盤を明らかにするとともに、腫瘍微小環境を標的とする新規がん免疫療法の開発につながる成果と期待される。本研究成果は Cancer Researchへ上梓された。 研究環境を米国へ移して以降は、多発性骨髄腫の前がん病態である意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)及びくすぶり型骨髄腫(SMM)の骨髄腫瘍微小環境で認められる細胞間相互作用の解明に取り組んでいる。MGUS及びSMMの患者骨髄において、健常人骨髄と比較して免疫細胞の機能や細胞ごとの比率に変化が認められることは以前より報告されていた。この骨髄微小環境で認められる免疫異常が実際に患者の免疫応答不全に繋がるのかどうか、その臨床的意義を評価するために、SARS-CoV-2ワクチン接種に対する免疫応答を、抗体価を測定することで評価した。その結果、臨床症状を伴わないMGUS、SMMといった前がん病態の患者群においても、多発性骨髄腫患者と同様に液性免疫応答不全が認められることを明らかにした。本研究により、臨床的に無症候の前がん病態の患者においてさえも免疫応答不全が存在し、ワクチン接種後にも関わらずSARS-CoV-2ブレークスルー感染の潜在的リスクを抱えていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究環境の変化に適応し、研究領域・研究対象・研究技術を向上させるとともに短期間で成果としてまとめ上げている。
|
Strategy for Future Research Activity |
多発性骨髄腫の前がん病態である意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)及びくすぶり型骨髄腫(SMM)の骨髄腫瘍微小環境で認められる細胞間相互作用の解明に向けたシングルセル遺伝子解析技術を中心に検討を加える。発現データの解析を進めると共に、多発性骨髄腫の骨髄腫瘍微小環境における細胞間相互作用解明を目指した国際共同研究を遂行する。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The IMPACT Study: Single-cell transcriptomic analysis of SARS-CoV2 vaccine response in patients with precursor plasma cell malignancies2021
Author(s)
Aranha P.M*, Wu T*, Konishi Y*, Sklaventis-Pistofidis R*, Yue H, Nowak R, Perry J, Horowitz E, Justis A, Lightbody E, Heilpern-Mallory D, Rahmat M, Varmeh S, Timonian M, Agius M, Su N, Hamilton M, Auclair D, Marinac C, Fischer E, Getz G, Ghobrial IM.
Organizer
Broad Retreat, 2021 Dec, Cambridge, MA.